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2026/01/06

マナドの食卓②

 
魚の燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

うっかりすっかり、前回から間があいてしまいました。そして年も越してしまいました。
旅した時にしか更新できないブログではありますが、2026年も気長にお付き合いいただけたら嬉しいです。

で、マナドの話しの続きです。美味しいもの。

まずは、やはりお魚ですね。
太平洋の南西部に面するマナドの立地。まったく、お魚天国です。
特にカツオなど青魚が豊富で、鮮魚だけでなく、それらを燻製にしたものが市場に並びます。

魚の燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

特に、カツオ/Cakalangの燻製は、マナド名物として知られています。
切り身となって、サンバルなどで調理されたもののほか、細かくほぐして唐辛子などと炒めたものなど、
いずれも、ごはん泥棒。凝縮された海魚の旨味で、白ごはんがどんどん進みます。

カツオの燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

マナドの料理は、ドライスパイスをほとんど使いません。
シャロット、トマト、唐辛子、あとはネギやレモンバジルなどのハーブで風味をつけるくらいなので、
予想外の風味が飛び出してこないあたりも、魚を食べ慣れたわたしたち日本人には嬉しいところかも。

カツオの燻製を使った料理で、わたしが大好きなのは、ビンテ/Binte。

ビンテ Manado_North Sulawesi, 2025

正確には、ビンテ・ビルフタ/Binte Bilhuta、場所によってはミル・シラム/Milu Siramという、
トウモロコシにネギなどのハーブを合わせ、カツオ出汁のスープをかけたこの料理は、
元々はマナドではなく、お隣のゴロンタロ/Gorontaloの郷土料理らしいです。
カツオも燻製であることが必須なわけではないらしいのですが、マナドで食べたのはカツオの燻製を使っていて、
ややスモーキーな魚の旨味に、塩気、ハーブの香りでいただく甘いトウモロコシのスープ。
美味しくないわけない。
毎日、朝ごはんがこれでもいいな、と思ったほどです。

ちなみに、写真のビンテと一緒にいただいたものがあります。写真が遠いんだけど。

ビンテ Manado_North Sulawesi, 2025

ぺレケデル・ニタ/Perkedel Nitaと呼ばれる、ニタという小さい小さい魚をフリッターにしたものです。
一般的にペレケデルはマッシュしたジャガイモを衣をくぐらせてあげた、パン粉のないコロッケのようなものなのですが、
マナドでは、あらゆるもののフリッターをペレケデルと呼びます(後日詳しく)。
植物性のものが多い印象のペレケデルですが、この小魚のものも美味しかった。

魚は、生でも食べます。

ゴフ・ツナ Manado_North Sulawesi, 2025

ゴフ/Gohuは、北マルクの料理だと言われますが、中部スラウェシのバンガイ諸島でも作ってもらったことがあります。
生の魚(や、貝)をシャロットやハーブとあえて、柑橘の酸で〆たものです。大好き。
マナドは、ツナ/Tuna、つまりマグロも有名。
マグロの赤身をさっぱり〆たゴフを、茹でたキャッサバ芋といただきました。

ところで、マナドではもうひとつ、ゴフがあります。

ゴフ Manado_North Sulawesi, 2025

お料理を教えてくれたママが「ゴフ食べる?」というので、魚だと思い「うん」と答えたところ、
「食べられるかなあ?」と言いながら出してきたのでした。
魚のゴフではなく、パパイヤのゴフです。

パパイヤは、ややオレンジががっているものの歯応えがしっかりした、まだ若いもの。
それを、バカサン/Bakasangと呼ばれる発酵食品であえたものを、ゴフと呼ぶのだそうです。

バカサン Manado_North Sulawesi, 2025

バカサンは、カツオの内臓を発酵させたものだと言っていました。
東〜東南アジア各地に、魚や魚の内臓を発酵させたものを調味料とする地域は広くありますね。
バカサンという名前は、カサン、ペカサン、ペカサムと呼ばれる、カリマンタンなどの一部で作られるなれ寿司の一種に似ます。
魚の臭みを心配して「食べられるかな」と心配してくれていたようです。
子供の頃から塩辛などに慣れている舌には、なんら問題はありませんでした。

魚の燻製として、もうひとつ、マナドを代表するのがロア/Roa。サヨリの仲間です。

ロアの燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

このロアの燻製をサンバルにした、サンバル・ロア/Sambal Roaが、マナドの定番の一つではないでしょうか。

サンバル・ロア Manado_North Sulawesi, 2025

で、このサンバル・ロアをつけて食べると止まらなくなるのが、ピサン・ゴレン/Pisang Goreng。
お馴染み、バナナのフライです。

ピサン・ゴレン Manado_North Sulawesi, 2025

2種類あるのですが、手前はケポック/Kepokと呼ばれる、調理用のサバ種のバナナです。
甘味はそれほど強くなく酸味寄りのフルーティーな風味、加熱しても果肉が崩れません。
そして、奥のスティック状になっているのが、マナドで好まれるゴロホ/Goroho種のバナナ。
これは、甘味はほぼなく、芋のような食感です。

調理用バナナ Manado_North Sulawesi, 2025

奥の大きい方がケポック、手前のひょろっとしたのがゴロホです。
スラウェシは(スラウェシに限らず、インドネシア各地そうではありますが)、バナナの種類が豊富です。
その中でも、このゴロホは、マナドを含めたき北スラウェシで人気の品種なのだそうです。
これを、さらっと衣をつけて揚げたものを、ロアのサンバルで食べます。
芋のフライにチリソースをつけるようなものなので、これはしっくりくるのですが、
数年前に初めてマナドを訪れた際に食べたのが、普通のピサン・ゴレンにロアのサンバルを添えたもので、
フルーティーなバナナのフライに魚風味のチリソースは、考えたこともない組み合わせでした。
が、それ以来病みつきになり、家でピサン・ゴレンを作る時にはサンバルも一緒に、が定番になりました。

さて、マナドごはん、魚だけではありません。
キリスト教徒の多い土地であるマナド、豚料理もたくさんあります。

ラゲイ Tomohon_North Sulawesi, 2025

ラゲイ Tomohon_North Sulawesi, 2025

ラゲイ Tomohon_North Sulawesi, 2025

一番ハマったのは、ラゲイ/Rageyという、豚のあばら肉の炙り焼き(サテとは別物扱いです)。
マナドと言うか、マナドから山側に向かったトモホンという街の名物です。

平たくおろした、いわゆる三枚肉を、長い竹串に刺して椰子殻の炭火で炙ります。
(写真手前の短い串のは、普通の豚のサテです)
このラゲイが、もうほんとおおおおに、美味しいのです。
下味は、ニンニクと塩、キャンドルナッツとライムとのこと。このライムが心憎い。
柑橘の酸味と豚の脂の甘みの組み合わせ。ちょっと言い表せないくらい美味しくて、2日連続で食べました。
見た目が素っ気なすぎて、感動的な美味しさを伝わる気がしないのが残念です。

そして、ごのラゲイのお供となるのが、ナシ・ブンクス/Nasi Bungkus。

ラゲイとナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス、つまり「包んだごはん」は、通常はテイクアウトのご飯とおかずのセットを指します。
ですが、ここでのナシ・ブンクスは「(葉っぱに)包まれたごはん」のこと。
芭蕉の仲間の葉に包まれて、ぐつぐつ煮られます。バナナの葉で包むロントン/Lontongの仲間かな。

ナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス用の葉っぱ Tomohon_North Sulawesi, 2025

葉っぱの香りが移ったごはんは、しっかりと密度があって食べ応えも十分です。

マナド市内でもラゲイは売られていますし、店によってはお肉の厚みもたっぷりあるのですが、
味は、やっぱりトモホンで食べたものにかなわないかなあ、と思います。

ラゲイと豚サテを焼くお兄さん Manado_North Sulawesi, 2025

マナド市内では、ラゲイの代わりに、このお兄さんの足元にあったこちらをいただきました。

ティノランサッ Manado_North Sulawesi, 2025

竹筒の中で蒸し焼きにされた豚料理、ティノランサッ/Tinorangsakです。

ティノランサッ Manado_North Sulawesi, 2025

ニンニクと唐辛子、そしてハーブなどで風味をつけて蒸し焼きにしたもので、とてもジューシー。
お魚のもあるらしく、それはそれできっと美味しかっただろうな、と思います。

それともうひとつ。

ナシ・クニン Manado_North Sulawesi, 2025

ナシ・クニン/Nasi Kuningです。

ナシ・クニン Manado_North Sulawesi, 2025

「黄色いごはん」を意味するナシ・クニン。ターメリックとスパイスで炊き込んだご飯+おかずです。
これは、インドネシア各地、もしかしたらムラユ系の料理としてマーレシアでも見られるかもしれません。
それでいて、各地に「この地域の朝ごはんといえばナシ・クニン」という意識があるようにも思います。
なので決してマナドの郷土料理というわけではないのですが、この葉っぱはちょっと他にはないかもと思い。
椰子の若芽を利用して包んであるんです。ココヤシ栽培が主要産業なマナドらしいかな、と。

おかずは、ゆで卵の他、甘しょっぱく煮込んだ牛肉と、ジャガイモのカリカリ。
これが、朝はあまりヘビーなものは食べないわたしでも、するりといけてしまった美味しさ。

ナシ・クニン Manado_North Sulawesi, 2025

店内でいただく場合は、ちゃんとお皿で出してくれます。
でも葉っぱにくるんだのが欲しいじゃないですか。
なので、翌朝に改めて出向いて「持ち帰りで」と注文したのでした。

マナドごはん Manado_North Sulawesi, 2025

とにかく、何を食べても美味しかったマナド。
美味しい上に、それほど胃腸に負担がない印象(唐辛子の辛さについては別のお話、笑)。
そんなマナド料理をどう作るのか、習ってきたので、それはまた次回に。


2025/11/02

アチェの食卓②

クママ調理中 Aceh_North Sumatra 2025

ということで、アチェのおかあさんたちと一緒にお料理です。

まずは買い出し。
鶏は丸っと一羽、羽を焼いてもらってから適当にぶつ切りにしてもらいます。
魚はトンコル/Tongkolと呼ばれる、サバの仲間をいくつか。
そして、アチェ名物のクママ/Keumamahと呼ばれる、茹でてから日干ししたトンコルも。

クママ Aceh_North Sumatra 2025

とはいえ、この時に手に入ったクママは、まだそれほど乾いていないもの。
クママというのは、漁師たちが余剰のトンコルやツナなどで作るものらしく、
それはつまり、漁獲量がそれほどではない時期には、あまり出回らないということなのです。
クママはイカン・カユ/Ikan Kayu(イカン=魚、カユ=木)とも呼ばれていて、
せっかくだったら、カユほどしっかり乾いたものを調理してみたかったのですが、残念です。

ビリンビとレモングラスとトーチジンジャー Aceh_North Sumatra 2025

フレッシュなビリンビと一緒に、レモングラスも購入。それからトーチジンジャーも。
この時に買ったのは、写真の上の方にある花ではなくて、右上にある芽の軸の方。
これを、レブン・カラ/Rebung Kalaと呼んでいました。
レブンはタケノコのこと。
カラは、北スマトラを中心にトーチジンジャーをチカラ/Cikalaと呼ぶので、そこからではないかと思います。

余談ですが、トーチジンジャーって、実はインドネシア各地でかなり広く使われている食材だと思います。
これまでスマトラ各地、カリマンタン内陸部、ジャワ、バリ、ロンボク、そしてスラウェシでも出会いました。
インドネシア語ではケチョンブラン/kecombrangと呼びますが、
それとは別に各地で独自の呼称があるのも、食材として地域に浸透しているからこそではないかと。
エキゾチックな香りが魅力で、使用部位は新芽の柔らかい芯の部分や、花、そして果実など。
わたしも大好きです。

ブンブ Aceh_North Sumatra 2025

ブンブ Aceh_North Sumatra 2025

ドライスパイス Aceh_North Sumatra 2025

使ったブンブ(調味料)たちはこんな感じでしょうか。もちろん、アサム・スンティもあります。
それから、パウダースパイスとしてターメリックとチリも。あとは塩かな。
それからもう一つ、ココナッツのブンブがあるのですが、それは後述します。

さて、どれからにしようかな。

まずはクママからにしましょう。

ブンブ Aceh_North Sumatra 2025

使用するブンブは、シャロット、ニンニク、緑の小さいチリと、赤い長いチリ、アサム・スンティ、コリアンダーシード、トマト。
これらを全部ブレンダーにかけてペーストにします。

油で、薄切りにしたシャロットを炒めて香りを出したところに、このペーストにしたブンブとカレーリーフを加え、
炒め合わせて火を通します。

クママ調理中 Aceh_North Sumatra 2025

全体にしっかり火が通ったら、丸くて小さい茄子を入れます。
これは、テロン・ピピ/Terong Pipit、もしくはタコカッ/Takokakと呼ばれる野菜で、
グリーンピースより少し大きめの、緑の実です。プチッと弾ける感じが美味しいです。

そして、ソースがほどよく煮詰まったあたりで、ほぐして水ですすいだクママを投入。

クママ調理中 Aceh_North Sumatra 2025

クママ調理中 Aceh_North Sumatra 2025

これをさらに煮詰めたら出来上がり。

クママ Aceh_North Sumatra 2025

インドネシアでは、広く各地で、海魚の調理には酸味を合わせる傾向が見られます。
このクママの場合は、トマトとアサム・スンティ。
青魚の旨みに酸味のソース、美味しくないわけないのです。ごはん泥棒。

つぎに、お魚をもう一品。

フレッシュなトンコルでスープです。

トンコル Aceh_North Sumatra 2025

この、魚の下処理がかなり特徴的でした。
まず、鱗はないのですが、銀の表皮があると生臭みが出るからと、その部分をこそげてしまいます。
そして、エラから顎、頬にかけての部分から内臓までを、ごそっと抜き取ります。
が、なぜかその時に、目は残すのです。技術的に難しいのでは、と思うのですが。

トンコル Aceh_North Sumatra 2025

独特なビジュアル。ちょっと怖い、笑。

それを、食べやすい大きさに切っていきます。

トンコル Aceh_North Sumatra 2025

さて、ブンブの用意。

ブンブ Aceh_North Sumatra 2025

シャロットとニンニクに、緑の小さいチリと、赤くて長いチリ、それからアサム・スンティでペーストにします。

魚の方は、まず、ざっと塩をまぶしてライムの果汁を絞っておきます。海魚には酸味の法則、ここでも発動。

トンコル調理中 Aceh_North Sumatra 2025

フレッシュのビリンビも薄く切って加えます。

トンコル調理中 Aceh_North Sumatra 2025

加熱する前ですが、ライムとビリンビの酸ですでに表面が白っぽくなっているのがわかります。
そこに、ペーストにしたブンブとターメリックパウダーを加え、適量の水を注いで煮ていきます。

トンコル調理中 Aceh_North Sumatra 2025

あとはぐつぐつと煮込んでいくだけ。酸っぱい魚のスープのできあがり。
目が合うけど。

トンコルのスープ Aceh_North Sumatra 2025

器によそっても、やっぱり目玉がちょっと気になるけど。味はいいのです、当然ながら!

フレッシュなビリンビは、果物らしい透明感のある酸味なのですが、
塩漬けにしながら日干ししたアサム・スンティになると、酸味に深みが出ます。
緑茶とほうじ茶、みたいなイメージです(わかりにくい?)。
南東スラウェシのブトン島にはパレンデ/Parendeと呼ばれる酸っぱい魚のスープがあり、
それは、タイの仲間など白身の魚にフレッシュなビリンビを合わせて作ります。
一方で、このトンコルなど、風味が強い青魚にはアサム・スンティなどアーシーで深みのある酸味が合うのです。
以前記事にしたバンガイ諸島の食卓でも、青魚にはタマリンドを合わせていました。
酸味の使い分けです。

では、続いて。チキンにいきましょう。

これは単純にアヤム・ブンブ・アチェ/Ayam Bumbu Aceh(アチェ風チキン)と言われたのですが、
使うブンブからして、確かにこれぞ「アチェ料理」という感じかもしれません。

まず、ペーストにするブンブですが、
トンコルのスープと同じ材料に(アサム・スンティは少なめに)、コリアンダーシードとライム果汁を少し足し、
そこに、クラパ・ゴンセン/Kelapa Gongsengという、ココナッツのブンブも加えます。

クラパ・ゴンセン Aceh_North Sumatra 2025

削ったココナッツの果肉部分をカラカラになるまで乾煎りし、それを石臼などで油が出てくるまで擦り潰したものです。
聞くと、乾煎りの段階でコリアンダーシードを混ぜる場合もあるらしく、
ココナッツの香ばしさと、爽やかなコリアンダーシードの香り、豊かな油脂の味わいが一体となって、
それはもう、魔法のペーストみたいに美味しいのです。

これはアチェ特有のブンブ。ココナッツミルクでは出せない香ばしさが魅力です。うっとり。

アヤム調理中 Aceh_North Sumatra 2025

ということで調理開始。
少量の油に、シャロットとドライスパイス(シナモン、八角、カルダモン)を加えて熱します。
インドネシアのカルダモンは、インドなどのグリーンカルダモンと異なり、丸っこくて白っぽい色をしています。
香りは、グリーンカルダモンほど強くはないかな。

香りが立ってきたら、ぶつ切りにしたチキンと、クラパ・ゴンセンと一緒にペーストにしたブンブ、適量の水を加え、
そこに、叩いて風味が出やすくしたレモングラス、カレーリーフ、パンダンリーフ、
刻んで塩しておいたトーチジンジャーの茎(中の柔らかい部分だけ)を足して煮込んでいきます。

アヤム調理中 Aceh_North Sumatra 2025

途中で、おかあさんが「なんかもうちょっと赤みが欲しいわよね」と、チリパウダーを加えました。
辛味が欲しいから、ではなく、色味が欲しいから、の唐辛子使い。

アヤム調理中 Aceh_North Sumatra 2025

とはいえ、ペーストのブンブの中にもたくさんチリは入っていますが、料理はそれほど辛味を感じません。
わたしの舌が辛味に慣れてしまったが故に、知覚が鈍っているという可能性もなくはないですが、
おそらくはココナッツも含めた油分と合わさることで、辛味の刺激がだいぶ抑えられているのではないかと。

そして、チキンがほどよく煮えた頃合いで、小さなジャガイモたちをころころっと足し、柔らかくなったら出来上がり。

アヤム・ブンブ・アチェ Aceh_North Sumatra 2025

スパイスの香りがあり、ハーブの香りもあり、ココナッツのコクと、その奥の方にある酸味。
動物性の旨みとバランスが取れる強さもあり、かつくどくならない。
なんて複雑で贅沢なおいしさなのだろうと感動します。

さてもう一品。
チキンを買う時に、半分にするか丸ごと一羽にするか迷って、結局一羽を買ったのですが、
その時に「じゃあ半分はアヤム・ゴレンにしよう」と思いついたのでした。

市場の一角に、ブンブのペーストを売っているおかあさんがいて、頼むとブレンドもしてくれます。

ブンブ屋さん Aceh_North Sumatra 2025

フレッシュのガランガル、ターメリック、ニンニク、シャロットのペーストを合わせてくれたのですが、
このおかあさんのアヤム・ゴレン用のブレンドが、もう天才的に最高でした。

アヤム・ゴレン Aceh_North Sumatra 2025

アチェに限らず、アヤム・ゴレンは、揚げる前にまずは下味をつけるために煮込みます。
一口大に切ったチキンに、ブレンドしてもらったブンブとカレーリーフ、ターメリックリーフを合わせ、
適量水を加えて煮込んでおきます。

市場などでペースト状にされているブンブは、加工しやすいように塩を加えられている場合が多いです。
なので、こういう形で使う時の塩加減は、そのへん注意が必要です。塩辛くなりすぎないように。

基本のブンブは、ある意味とてもインドネシアらしいブレンドなのですが、
そこにカレーリーフの香りが加わると、一気にアチェらしくなります。
ターメリックリーフは西スマトラでもよく使われますが、これもまたとてもいい香りがするハーブなのです。

アヤム・ゴレン Aceh_North Sumatra 2025

このくらい、水気が無くなるまで。
ブンブの繊維質や葉っぱなどが残っていますが、これをこのまま油であげることで、
例えば唐揚げなど、粉をつかった「衣」とはまた違う、サクッと軽い「衣」を纏うことになります。

アヤム・ゴレン Aceh_North Sumatra 2025

じゅわーーーー。
アヤム・ゴレンに「ジューシー」という概念はあまりないように思います。
それよりは、しっかりカリッとカラッとなるまで揚げます。
周りに残っていた繊維質たちも美味しい衣になって、出来上がり。

アヤム・ゴレン Aceh_North Sumatra 2025

なんなら、このカリカリになってる繊維質の部分だけで白ごはん食べられる感じ。

アチェごはん Aceh_North Sumatra 2025

お野菜も炒めてもらって、豪華なお昼ご飯になりました。

パッと見は、他の地域と似たような、茶色いインドネシアごはんに見えると思います。
けれど、一口食べるとわかるんです。
スパイスの香りやココナッツのコクを感じつつ、抜けのある軽やかさがある、アチェならではの味わい。
ちょっとクセになる、これらの味のせいで去り難いような、そんな素晴らしいアチェの旅でした。

クママ Aceh_North Sumatra 2025

アチェの食卓が、2025年最初の記事になってしまいましたが(スローですみません、汗)、
実は今年は、北スラウェシのマナドにも行っていたのでした。

タイミングは前後しますが、
スパイスフルなスマトラの料理から一転、フレッシュハーブがふんだんのマナドのごはんを次回から。