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2023/03/14

ロンボクの食卓①

お料理教室 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ロンボク/Lombok島に行き、友人夫婦のお姉さん宅でお料理教室をしてもらってきました。
思うほど辛くなく、思う以上に野菜がたっぷりなロンボクのキッチンです。

まず、ロンボク島の位置ですね。
バリ島の東隣。東西に広がるインドネシアのちょうど真ん中あたりの島です。


ロンボク/Lombokとは、ジャワなどの言葉で「唐辛子」を意味します。
なので、ああどうりでロンボクのごはんは唐辛子たっぷりで辛いはずだ、などと思ってしまいがちですが、
実はそのLombokではなく。
ロンボク島に暮らすササック/Sasakの人たちの言葉で「真っ直ぐ」を意味するLomboqに由来するそうです。

とは言え。
ロンボクの料理にたくさん唐辛子が使われがちなのは間違いがありません。
今回は、いつも以上に「赤み」増しなキッチン。
唐辛子については、以前の記事→ をご参考に。

材料 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ジャカルタなどでロンボク料理といえば、アヤム・タリワン/Ayam Taliwangとプレチン・カンクン/Plecing Kankung。

アヤム・タリワンとプレチン・カンクン Jakarta, 2023

確かに有名な料理ですが、じゃあそれ以外は?というと、なかなか出てこないのも事実。
けれどロンボク料理はその二つのみにあらず。
野菜をふんだんに使ったロンボクの家庭料理を色々教わってきました。

「のみにあらず」とか言いましたが、でもまあ、プレチンから始めましょうか。

プレチンのセット Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

唐辛子大/Cabai Besar、唐辛子小/Cabai Rawit、トマト、ニンニク、トラシ/Terasi、砂糖、塩がプレチンセット。
唐辛子をしっかり使いつつ、火を吹くような辛さにしないコツの1つは、唐辛子の大と小の塩梅です。
写真は「辛さマイルド」を目指した比率。
大きい唐辛子の方が辛味は穏やかなので多めに、辛みがシャープな小さい唐辛子は控えめです。
そして、全体の味を立たせるために塩は当然必要ですが、砂糖もしっかり。忘れずに。
これが辛さを調整するコツの2つ目です。
辛味に対して砂糖なんて安直な。と思うかもしれませんが、甘味の奥行きはやはり最強のバランスです。

で、これをフレッシュなままチョベッ/Cobekやブレンダーで潰したらプレチンの基本は完成です。
シンプルです。
このソースと和えたあれやこれやを総して、プレチンと呼びます。

代表的なプレチンは、プレチン・カンクン/Kankung。カンクンは空芯菜のこと。
こちらは、ジャカルタのレストランのプレチン・カンクン。茹でた空芯菜ともやしです。

プレチン・カンクン Jakarta, 2023

そしてこちらは、ロンボクの友人宅で出してもらったプレチン・カンクン。

プレチン・カンクン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

揚げた豆腐や茹で卵も合わせ、ピーナッツソースでガドガド的にもどうぞ、というアレンジ。
ジャカルタだと、プレチンの上にはピーナッツが必ず乗っていますが、友人夫婦曰く「必須ではない」そう。

ちょっと脱線しますけど(でもどうしても書いておきたい)、
ロンボクの、というか島の中心地であるマタラム/Mataramの豆腐の美味しさはなかなかの驚きでした。
出来立ての、まだほんのり温かいのを用意してくれていたのですが、それをそのままを食べられるのです。
以前お豆腐の記事(→)でも書きましたが、
インドネシアの豆腐は酸味があるものが多く、買ってきたものを家庭で調味加熱して食べます。
生食が可能かどうかというより、酸味が優ってしまうので、塩味や油などでバランスをとりたくなるのです。
が、マタラムの豆腐は酸味がなく、何もつけず、ただそのままで豆の味が甘く感じられるのです。
あのお豆腐の秘密は一体なんなのか。いつか解明しに行きたいです。本当に美味しかった。
その美味しい豆腐をカリッと揚げてくれたこのプレチンお豆腐も、当然素晴らしく美味しかったのです。

閑話休題。
ロンボクは空芯菜が美味しいので有名です。

空芯菜 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

見て、この立派な空芯菜。
茎の太さが違います。そして、これが固くなくて、パキパキと美味しいのです。

なんでこんなに立派なの?と聞いたところ「んー、川に生えてるから?」との返答。
ロンボクの人にしてみたら、空芯菜っていうのはこういうもの、なんでしょうね。うらやましい。
この空芯菜を茹でて、そしてこの太い茎を縦に裂き、茹でたもやしと一緒に盛ってプレチンのソースをかける。
プレチン・カンクンの出来上がりです。
さっぱり瑞々しく、シャキッとした歯ごたえとすっきりした辛味、そしてじんわりくるトラシの旨味。
(ロンボクはトラシの産地としても有名です)
毎日食べてもいいかもしれない、と思うくらいに飽きのこないひと皿です。

ところが、プレチンはカンクンばかりではなかったのです。これが、今回の「目から鱗」のひとつ。
これまではプレチン・カンクンというひと続きの名前として認識していたのでした、わたし。
他の食材でも「プレチン」ができるという発想がありませんでした。プレチンって自由!

まず、やばいこれハマる、となったのは焼き茄子のプレチン/Plecing Terung Bakar。

焼き茄子のプレチン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ジューシーでスモーキーな焼き茄子に、すっきりとしたフレッシュな唐辛子の辛味と旨味。
そもそも焼き茄子自体がとても好きなので、これはもう。ご飯泥棒です、まったく。

使った茄子は緑の茄子。
西ジャワでは紫の茄子の方が圧倒的に主流なのですが、ロンボクは両方あるようです。
緑の方が柔らかいって言いますよね。

緑の茄子 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

友人の旦那さんがこの緑の茄子の種を見つけてきてくれて(ほんとうに至れり尽くせり)、
自宅に戻った私は早速植えてみましたよ。育つといいなー。

そして、キノコのプレチン。
このキノコがまた。

ジャムル・ラロン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

この大きくてまんまるなキノコ、ジャムル・ラロン/Jamur Larongと呼ばれています。
ジャムルはキノコ、ラロンとは雨季の始めの夕方に一斉に地中から羽化して飛び立つ羽虫の一種。
その羽虫が羽化した地中から生えてくるのが、このキノコなのだそうです。驚き。
大きくて丸い傘に細くてすっとした軸を持つこのキノコ、いつでも採れるわけではないのだとか。
ロンボクではテンコン・ブラン/Tengkong Bulanと呼ばれていました。テンコン=キノコ、ブラン=月。
満月のキノコ、って素敵な名前ですよね。

程よい歯ごたえがありクセのない美味しさのこのジャムル・ラロンも、プレチンにしてもらいました。

プレチン・ジャムル・ラロン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

って、ブレてるの。しんじられない。泣く。
めっちゃ美味しかったんですよ。なのに。泣く。

気を取り直して、次のプレチン。バナナの花のプレチン。

プレチン・ジャントゥン・ピサン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

他の料理のために下準備をしていたバナナの花を、せっかくだからとプレチンにしたのでした。
バナナの花は、インドネシア語ではジャントゥン・ピサン/Jantung Pisang、バナナのハート(心臓)と言います。

写真上部に写っているオレンジ色、これは油のパックです。
唐辛子の辛さ調整のコツ3つ目がこれなのです。
辛味成分であるカプサイシンは、油分に溶ける性質があるんですよね。
なので、油と合わせることで、シャープな辛味は丸味を帯びたマイルドな辛味に変化するのです。
大きな唐辛子と小さな唐辛子の塩梅、勇気ある砂糖と油使い。これです。

プレチン・ジャントゥン・ピサン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

すごく赤いけど、思うほど辛くないのですよ。
艶めくバナナの花のプレチン、シャキッと茹でた歯ごたえと仕上げに絞ったコブミカンの風味が効いて美味です。

そしてもうひとつ、同じプレチンでも油で加熱調理したプレチン、プレチン・コマック/Plecing Komaq。
コマックという小粒の豆を使います。
ロンボクの言葉ではコマック・シオン・スプッ/Komaq Siong Sepuq(シオン=揚げる、スプッ=ドライ)。

炒めプレチンのセット Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ドライに仕上げるためか、唐辛子の辛味とのバランスは油に任せるからか、トマトはなしで。
唐辛子の大小とニンニク、トラシ。

コマックを揚げる Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

まずは、一晩浸水した(下茹でもしてたかも)コマックを、油でじっくり揚げます。

炒めプレチン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

次にプレチンセットを潰して、もしくはブレンダーで滑らかにして、それをたっぷりの油で炒めます。
赤いソースの縁に油が見えますよね。勇気ある油使いです。油は味。控えめに、とか言わずきちんと適量使用で。

プレチン・コマック Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

水分を飛ばしつつ、砂糖、塩、化学調味料などで味付けをしていきます。
味見をしながら塩と砂糖を加えて、お姉さんに「どうかな」とやると「砂糖が足らない」と言われました。
なので、自分的には「勇気ある砂糖使い!」と思って砂糖を追加。
なのに、再度味見したお姉さんに「まだ足りない!」と言われました。
実際、お姉さんの砂糖の加減で味がばっちり決まるんです。さすが。
勇気は思い切りです。

味が決まったら揚げたコマックを合わせ、しっかりドライになるまで加熱してできあがり。
もともと豆らーなので、こういう豆系の料理には目がないのです。常備したいくらいご飯によく合う副菜。

たくさんあったコマックは3回に分けて揚げたのですが、最後の1回はわたしが仕上がりを確認しました。
味見と言いながらつまみ食いしつつ、揚げ上がりの頃合いは判断できたと思ったのですが、
最後に合わせた段階で「カリッとしてない」と指摘されました(笑)。

コマックを揚げる Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

本当にしっかりカリッとしてないと、プレチンと合わせた時にその水気を吸収してしまうのです。
で、なんだか中途半端な歯応えの、中途半端に硬い仕上がりになってしまうのでした。反省。

と、プレチン徒然だけで結構な長さになってしまいました。

ロンボクの市場 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

美味しい唐辛子料理のキッチン、まだまだありますが、ひとまずここまで。
続きます。





2022/08/27

森の食卓(西カリマンタン)

森の食材 Lanjak_West Kalimantan, 2022

お久しぶりです!
最後の更新が、2021年の5月でしたので、1年以上あいてしまいました(笑うしかない)。
ブログがどういう体裁だったか、どのくらいのテンションの文章だったかもすっかり忘れてしまいました。
コロナ禍の旅行自粛、まして旅先で土地の人のキッチンを訪ねるなんてこと、とてもできない日々でしたが、
やっと、やっと!見知らぬごはんを求めての旅にでることができました。だから更新!

今回の旅先は、西カリマンタン州の内陸部、カプアス・フル/Kapuas Huluと呼ばれる地域です。
地図の赤丸の地点です(青丸がジャカルタ)。


カリマンタン島のマレーシアとの国境近く、
内陸でありながらも標高は大体30mほど、やや高地でもせいぜい600mくらいという土地で、
インドネシア最長のカプアス川の源流を抱き、豊かな熱帯雨林が広がる土地。
その森の恵みをいただく旅でした。

まずは、その土地の市場を見に行くところから。

村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022

村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022

村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022

村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022

村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022

何があって、何がないのか。

圧倒的な存在感なのがウリたちです。カボチャ、へちまとその仲間たち、きゅうり、そして葉や花も。
2枚目の写真の右下にあるのは、きゅうりの種なんです。
種を食べるの?と聞いたら「撒くのよ」と当たり前のことを真面目に教えてくれました(笑)。

きゅうりの葉以外の葉野菜は、キャッサバの葉とシダ類が充実。
茄子はとても小ぶり。大きいのもあるわよ、と見せてくれたのもやはりだいぶ小さかったです。
2枚目の右上のオクラ。これはジャワなどの都会のスーパーマーケットにはありますが、
あまり一般的に食される素材ではなく市場で見かけることは稀です。少なくとも西ジャワのバンドンあたりでは。
ここではカチャン・レンディル/Kacang Lendir(粘り豆)と呼ばれ(ジャワではオクラ/Okura)、
「よく食べるよ」とのことでした。
3枚目の左端のビニールに入っているのは筍です。

一方で、ないもの。
まず、トマトがないです。唐辛子も、小粒のラウィット/Rawitのみ。
ジャワの市場で見かけないことはないトマトと、常に並んでいる2、3種類の唐辛子ですが、
ここでは週末に離れたところから売りに来る人がいるだけで、普段の市場には並ばないのだそう。
何種類もあるのが常なバナナもまた同様。ここでは基本的にはこの小さいのだけなのだそうです。
ガランガル/Lengkuasや、フレッシュなターメリック/Kunyitも見当たりません。

こういう、あるものないものを見ていくと、その土地の植生と食文化、暮らしが見えてきます。
火山性の土地で広く開墾され、野菜などの栽培が盛んなジャワとはまた違う様相です。
農耕と採集の混在しているこの地での畑は転地耕作が多く、
作物と土壌との相性だけでなく、その作法と相性のいい作物というのがあるのでしょう。
筍やシダの類は転地後の畑跡や森に生えるものを採ってきているのだと思われます。

シダ Lanjak_West Kalimantan, 2022

アクもほとんど感じない優しい味がします。

市場の一枚目の写真に戻り、妙に長いものを。

村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022

ヘビウリ/Labu Ularです。
一緒に入ってるのはカボチャと、トカドヘチマ/Gambas(Oyong)。
食べたことないこれ、と思い購入し、ゲストハウスへ持って帰りました。
今回の旅、気になる野菜を買ってはゲストハウスで料理してもらえたので楽しかったです。

ヘビウリ Lanjak_West Kalimantan, 2022

お店の人が「卵と炒めたら美味しいよ」と言いながら、バキッと半分に折っちゃったのにはびっくりしたけど。

きゅうりの葉とへちま Lanjak_West Kalimantan, 2022

その日はへちまも料理される予定でした。

ゲストハウスのごはん Lanjak_West Kalimantan, 2022

かぼちゃもあって、きゅうりもあって、ウリ科総出みたいなお昼ごはん。
ヘビウリは、クセのない味でしゃくっとした歯ごたえが美味しかったです。

ゲストハウスのごはん Lanjak_West Kalimantan, 2022

ウリ科といえば、苦瓜/Pareも。

それから、市場の写真でごろっとアピールをしていたこちら。

テロン・アサム Lanjak_West Kalimantan, 2022

この地域特有の野菜と言われているテロン・アサム/Terong Asam(酸っぱい茄子)です。
剥くとアクが出るところとか、中に種が詰まっている感じとか、確かに茄子。
酸味自体は、一番酸っぱいと言われる種の周りでもそれほど強くなくマイルド。

テロン・アサム Lanjak_West Kalimantan, 2022

テロン・アサム Lanjak_West Kalimantan, 2022

刻んだのを、ニンニクとシャロット、干した雑魚と炒めます。食感も茄子。
優しい酸味に油と、雑魚の旨味が染み込んでいて、ご飯が進む系のおかずですね。

干し魚も市場にならんでいました。淡水魚の塩漬けです。

干し魚 Lanjak_West Kalimantan, 2022

この村は近くに大きな湖があるので、そこで漁れた魚などを加工しているのだと思います。

それから、酸味について。
あなたとここでお会いするとは、と思った酸味素材、カンディス/Kandis。

カンディス Lanjak_West Kalimantan, 2022

日本語ではキャニモモと呼ばれる植物の果実を干したもので、
これまでカンディスを見かけたのは、スマトラ島の北端のアチェと、あとはスリランカでした。

ジュクット Lanjak_West Kalimantan, 2022

これは、郷土料理の一つでジュクット/Jukutと呼ばれるもの(詳しくは次回に)なのですが、
ここに入ってる黒い、レーズンのようなものがカンディスです。
タマリンドよりはマイルドな、アーシーな酸味です。

また、魚などの臭み消しに使う柑橘は、カラマンシーでした。
カラマンシーは、ジャワではあまり見かけないのですが、インドネシア西部ではよく使われますね。

魚の下処理 Lanjak_West Kalimantan, 2022

魚は淡水魚のプラーチョン/Gabusの仲間だそう。湖で捕れたのでしょう、脂がのっていて美味です。

森の食物として、果物も。
「なお、これ絶対知らないでしょ、食べてみ」と出されたのがこちら。

センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022

センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022

これが果物だとは思わなないよなあ。というビジュアル。
地元の言葉ではセンガン/Senggang、もしくはジョンポン/Jomponと呼ばれています。
(民族が違うと言語が違うので、呼称も変わります)
中は小さな種がみっしりで、その周りを半透明の薄い果肉が覆っていて、
一口食べると、見た目に反したさわかやかフルーティーなフレーバー。種もそのまま食べてしまえます。
地元の子には「種は噛まず、キャンディのように舐めて味がなくなったら飲み込んじゃうの」と言われました。
これにわたしはハマってしまって、喋りながら延々食べ続け、
わたしのお腹の中はこの種ですごい粒々状態になっているかもしれない、というくら食べました。
その食べっぷりを見た別の子が「こっちの方が美味しい」と、外に行って採ってきたのがこちら。

レンバ Lanjak_West Kalimantan, 2022

こちらはレンバ/Lemba。
皮を剥くのではなく、膨らんだ部分を口に入れて前歯でしごくように果肉を搾り出して食べます。
ちょっと酸味があり、香りがいいのです。これもまた美味しい。
 
今回の滞在中、村で行われたフードフェスティバルに参加したのですが、
そこで、このサンガンとレンバの原型(?)がわかりました。

センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022

センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022

レンバ Lanjak_West Kalimantan, 2022

レンバ Lanjak_West Kalimantan, 2022

センガンはジンジャーの一種、レンバは蘭の一種にあたるらしく、
みんなが「土の下に実がある」と説明してくれていたのがピンと来なかったのですが、
どちらも株の根元にこういう形で生えてくるのだそうです。
センガン、ちょっと茗荷みたいですよね。

で、そのフードフェスティバル。
土地の料理を知りたいと旅をするわたしにはぴったりな企画だと、大はしゃぎで出向き、
すっかり楽しんだし、いろんなものを見て食べて聞いてしてきました。
が、なにせ色々ありすぎて、情報オーバーロード。教えてもらった食べ物や料理の名前は全て忘れました。
泣く。

フードフェスティバル Lanjak_West Kalimantan, 2022

なので、記憶に具体性がいまいち足りない状態ではあるのですが、
これ以上メモリーからこぼれ落ちてしまう前に、次回は頑張ってこのフードフェスティバルについてです。


2017/01/05

焼き茄子のサンバル/Sambal Terong Bakar

焼き茄子のサンバル Kupang, East Nusa Tenggara, 2017

2017年、明けましておめでとうございます。

年末からしばらく、東ヌサトゥンガラ州へ旅行に行っていました。
首飾りのように連なるインドネシアの島々の中で、一番垂れ下がった辺り。
今回訪れたのは、その中でもロテ島とティモール島のクパンという街。インドネシア最南端のエリアです。

水色:ロテ島 赤:ティモール島クパン

旅先で出会った美味しいものについて、また書いていきたいと思うのですが、
まずは、クパンで作ってもらった焼き茄子のサンバルからご紹介。

インドネシア各地の料理を見ても、野菜料理のバリエーションというのは、実はそれほど多くはありません。
一つの野菜に対して何通りもの調理方法が出て来る日本の家庭料理に比べて、
インドネシアでは基本的に、炒めかスープの具、もしくは生。
炒める際の調味料に若干の違いがある程度な印象です。

その中で茄子は、比較的いろんな使われ方をしている方かもしれません。
定番はバラドと呼ばれる唐辛子ソースを絡めて炒めたもの。
西ジャワ地方では緑の小茄子をそのまま食べたりもします。
ロデというココナッツミルクのスープに具材として使われたり、
バンダ諸島ではクナリナッツのソースをかけたものがあったり、
フローレスでトマトと一緒に酸味よりの味付けて炒めたものを食べたことがありますし、
焼き魚などの付け合わせとして、素揚げの茄子を出す地域もあります。
気候の面からも夏野菜の茄子には合う土地なのでしょうね。
そして、揚げが多用されるインドネシアの調理法に、油との相性がいい茄子はよく合うのかもしれません。

市場の茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

そんな茄子を使ったサンバル(唐辛子と野菜を潰し混ぜたインドネシア定番のタレ)も、
唐辛子と合わせて炒めた真っ赤なものもあるのですが、
今回のクパンのサンバルは油を使わず、じわじわと焼いた茄子を使います。
サンバルというより、日本人的にはおかずのような一品です。なんてったって、焼き茄子ですからね。

作ってくれた友人のTとAのレシピとして、材料とざっくりの分量も。

唐辛子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

[焼き茄子のサンバル]
緑の茄子/Terong Hijau:3本
唐辛子(チャベ・ラウィット)/Cabai Rawit Merah:適量(ここでは15粒ほど)
シャロット/Bawang Merah :適量(ここでは10個ほど)
キーライム/Jeruk Nipis:2個ほど
レモンバジル/Kemangi:適量
塩/Garam:適量

1.茄子を焼く
まずは、ここからです。
作ってくれた2人は、紫の茄子より緑の茄子の方が好きだとのこと。
若い方が美味しいよ、とA。
かまどの燠火にぽんぽんと置いて直に加熱していきます。

かまどの茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

食事の支度となれば、お米を炊くのに、まずはかまどに火を熾しますよね。
で、お米が炊けたら、お鍋は火から下ろされて蒸らしにはいるわけなのですが、
その残りの炭に、こうやって茄子を乗っけておくのだそうです。
お米が蒸らされてちょうどいい具合になる頃に、茄子も焼けて食べられるようになる。

かまどの茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

皮の色が変わって柔らかくなり、ぷすぷすと言い始めたら頃合いです。

2.唐辛子を潰す
ここからは、サンバル作りの必須アイテム「ウレカン/Ulekan」と「チョベッ/Cobek」の出番です。
インドネシアのご飯を作る際、あらゆるものを潰すのに必ず登場するこの道具。
チョベッは石の鉢、ウレカンはその対となるすり潰すための石のハンドルです。

唐辛子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

チョベッに唐辛子を置いて、ウレカンで擦るようにして潰していきます。

3.混ぜる
あとは、着々と混ぜていきます。

焼き茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

茄子の焦げた皮を除き、内側の瑞々しい果肉の部分をチョベッに移し、若干潰すようにしながら混ぜます。
Tは粗めの潰し具合が好みとのこと。

焼き茄子のサンバル Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

粗めに刻んだシャロットと、香りのいいレモンバジルを適量ちぎりながらくわえ、

焼き茄子のサンバル Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

キーライムの果汁を絞ります。
そのキーライムの皮も細かく刻んで加えてしまうのが、T好み。
味を見ながら塩をして、もうちょっと、とシャロットを追加して出来上がり。

焼き茄子のサンバル Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

これ、美味しいです。
これだけで、白ご飯食べられるくらいに美味しいです。
とてもシンプルな材料で作られているのですが(東ヌサトゥンガラの料理は至ってシンプルです)、
焼き茄子のとろっとした食感も素晴らしく、スモーキーな風味を唐辛子がきりっと引き締めます。
刻んだライムの皮の爽やかな香りと、若干の苦みがとてもいいアクセント。
こうやって書きながら思い出して、もうまた食べたいくらいです。
お試しください。