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2026/01/06

マナドの食卓②

 
魚の燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

うっかりすっかり、前回から間があいてしまいました。そして年も越してしまいました。
旅した時にしか更新できないブログではありますが、2026年も気長にお付き合いいただけたら嬉しいです。

で、マナドの話しの続きです。美味しいもの。

まずは、やはりお魚ですね。
太平洋の南西部に面するマナドの立地。まったく、お魚天国です。
特にカツオなど青魚が豊富で、鮮魚だけでなく、それらを燻製にしたものが市場に並びます。

魚の燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

特に、カツオ/Cakalangの燻製は、マナド名物として知られています。
切り身となって、サンバルなどで調理されたもののほか、細かくほぐして唐辛子などと炒めたものなど、
いずれも、ごはん泥棒。凝縮された海魚の旨味で、白ごはんがどんどん進みます。

カツオの燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

マナドの料理は、ドライスパイスをほとんど使いません。
シャロット、トマト、唐辛子、あとはネギやレモンバジルなどのハーブで風味をつけるくらいなので、
予想外の風味が飛び出してこないあたりも、魚を食べ慣れたわたしたち日本人には嬉しいところかも。

カツオの燻製を使った料理で、わたしが大好きなのは、ビンテ/Binte。

ビンテ Manado_North Sulawesi, 2025

正確には、ビンテ・ビルフタ/Binte Bilhuta、場所によってはミル・シラム/Milu Siramという、
トウモロコシにネギなどのハーブを合わせ、カツオ出汁のスープをかけたこの料理は、
元々はマナドではなく、お隣のゴロンタロ/Gorontaloの郷土料理らしいです。
カツオも燻製であることが必須なわけではないらしいのですが、マナドで食べたのはカツオの燻製を使っていて、
ややスモーキーな魚の旨味に、塩気、ハーブの香りでいただく甘いトウモロコシのスープ。
美味しくないわけない。
毎日、朝ごはんがこれでもいいな、と思ったほどです。

ちなみに、写真のビンテと一緒にいただいたものがあります。写真が遠いんだけど。

ビンテ Manado_North Sulawesi, 2025

ぺレケデル・ニタ/Perkedel Nitaと呼ばれる、ニタという小さい小さい魚をフリッターにしたものです。
一般的にペレケデルはマッシュしたジャガイモを衣をくぐらせてあげた、パン粉のないコロッケのようなものなのですが、
マナドでは、あらゆるもののフリッターをペレケデルと呼びます(後日詳しく)。
植物性のものが多い印象のペレケデルですが、この小魚のものも美味しかった。

魚は、生でも食べます。

ゴフ・ツナ Manado_North Sulawesi, 2025

ゴフ/Gohuは、北マルクの料理だと言われますが、中部スラウェシのバンガイ諸島でも作ってもらったことがあります。
生の魚(や、貝)をシャロットやハーブとあえて、柑橘の酸で〆たものです。大好き。
マナドは、ツナ/Tuna、つまりマグロも有名。
マグロの赤身をさっぱり〆たゴフを、茹でたキャッサバ芋といただきました。

ところで、マナドではもうひとつ、ゴフがあります。

ゴフ Manado_North Sulawesi, 2025

お料理を教えてくれたママが「ゴフ食べる?」というので、魚だと思い「うん」と答えたところ、
「食べられるかなあ?」と言いながら出してきたのでした。
魚のゴフではなく、パパイヤのゴフです。

パパイヤは、ややオレンジががっているものの歯応えがしっかりした、まだ若いもの。
それを、バカサン/Bakasangと呼ばれる発酵食品であえたものを、ゴフと呼ぶのだそうです。

バカサン Manado_North Sulawesi, 2025

バカサンは、カツオの内臓を発酵させたものだと言っていました。
東〜東南アジア各地に、魚や魚の内臓を発酵させたものを調味料とする地域は広くありますね。
バカサンという名前は、カサン、ペカサン、ペカサムと呼ばれる、カリマンタンなどの一部で作られるなれ寿司の一種に似ます。
魚の臭みを心配して「食べられるかな」と心配してくれていたようです。
子供の頃から塩辛などに慣れている舌には、なんら問題はありませんでした。

魚の燻製として、もうひとつ、マナドを代表するのがロア/Roa。サヨリの仲間です。

ロアの燻製 Manado_North Sulawesi, 2025

このロアの燻製をサンバルにした、サンバル・ロア/Sambal Roaが、マナドの定番の一つではないでしょうか。

サンバル・ロア Manado_North Sulawesi, 2025

で、このサンバル・ロアをつけて食べると止まらなくなるのが、ピサン・ゴレン/Pisang Goreng。
お馴染み、バナナのフライです。

ピサン・ゴレン Manado_North Sulawesi, 2025

2種類あるのですが、手前はケポック/Kepokと呼ばれる、調理用のサバ種のバナナです。
甘味はそれほど強くなく酸味寄りのフルーティーな風味、加熱しても果肉が崩れません。
そして、奥のスティック状になっているのが、マナドで好まれるゴロホ/Goroho種のバナナ。
これは、甘味はほぼなく、芋のような食感です。

調理用バナナ Manado_North Sulawesi, 2025

奥の大きい方がケポック、手前のひょろっとしたのがゴロホです。
スラウェシは(スラウェシに限らず、インドネシア各地そうではありますが)、バナナの種類が豊富です。
その中でも、このゴロホは、マナドを含めたき北スラウェシで人気の品種なのだそうです。
これを、さらっと衣をつけて揚げたものを、ロアのサンバルで食べます。
芋のフライにチリソースをつけるようなものなので、これはしっくりくるのですが、
数年前に初めてマナドを訪れた際に食べたのが、普通のピサン・ゴレンにロアのサンバルを添えたもので、
フルーティーなバナナのフライに魚風味のチリソースは、考えたこともない組み合わせでした。
が、それ以来病みつきになり、家でピサン・ゴレンを作る時にはサンバルも一緒に、が定番になりました。

さて、マナドごはん、魚だけではありません。
キリスト教徒の多い土地であるマナド、豚料理もたくさんあります。

ラゲイ Tomohon_North Sulawesi, 2025

ラゲイ Tomohon_North Sulawesi, 2025

ラゲイ Tomohon_North Sulawesi, 2025

一番ハマったのは、ラゲイ/Rageyという、豚のあばら肉の炙り焼き(サテとは別物扱いです)。
マナドと言うか、マナドから山側に向かったトモホンという街の名物です。

平たくおろした、いわゆる三枚肉を、長い竹串に刺して椰子殻の炭火で炙ります。
(写真手前の短い串のは、普通の豚のサテです)
このラゲイが、もうほんとおおおおに、美味しいのです。
下味は、ニンニクと塩、キャンドルナッツとライムとのこと。このライムが心憎い。
柑橘の酸味と豚の脂の甘みの組み合わせ。ちょっと言い表せないくらい美味しくて、2日連続で食べました。
見た目が素っ気なすぎて、感動的な美味しさを伝わる気がしないのが残念です。

そして、ごのラゲイのお供となるのが、ナシ・ブンクス/Nasi Bungkus。

ラゲイとナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス、つまり「包んだごはん」は、通常はテイクアウトのご飯とおかずのセットを指します。
ですが、ここでのナシ・ブンクスは「(葉っぱに)包まれたごはん」のこと。
芭蕉の仲間の葉に包まれて、ぐつぐつ煮られます。バナナの葉で包むロントン/Lontongの仲間かな。

ナシ・ブンクス Tomohon_North Sulawesi, 2025

ナシ・ブンクス用の葉っぱ Tomohon_North Sulawesi, 2025

葉っぱの香りが移ったごはんは、しっかりと密度があって食べ応えも十分です。

マナド市内でもラゲイは売られていますし、店によってはお肉の厚みもたっぷりあるのですが、
味は、やっぱりトモホンで食べたものにかなわないかなあ、と思います。

ラゲイと豚サテを焼くお兄さん Manado_North Sulawesi, 2025

マナド市内では、ラゲイの代わりに、このお兄さんの足元にあったこちらをいただきました。

ティノランサッ Manado_North Sulawesi, 2025

竹筒の中で蒸し焼きにされた豚料理、ティノランサッ/Tinorangsakです。

ティノランサッ Manado_North Sulawesi, 2025

ニンニクと唐辛子、そしてハーブなどで風味をつけて蒸し焼きにしたもので、とてもジューシー。
お魚のもあるらしく、それはそれできっと美味しかっただろうな、と思います。

それともうひとつ。

ナシ・クニン Manado_North Sulawesi, 2025

ナシ・クニン/Nasi Kuningです。

ナシ・クニン Manado_North Sulawesi, 2025

「黄色いごはん」を意味するナシ・クニン。ターメリックとスパイスで炊き込んだご飯+おかずです。
これは、インドネシア各地、もしかしたらムラユ系の料理としてマーレシアでも見られるかもしれません。
それでいて、各地に「この地域の朝ごはんといえばナシ・クニン」という意識があるようにも思います。
なので決してマナドの郷土料理というわけではないのですが、この葉っぱはちょっと他にはないかもと思い。
椰子の若芽を利用して包んであるんです。ココヤシ栽培が主要産業なマナドらしいかな、と。

おかずは、ゆで卵の他、甘しょっぱく煮込んだ牛肉と、ジャガイモのカリカリ。
これが、朝はあまりヘビーなものは食べないわたしでも、するりといけてしまった美味しさ。

ナシ・クニン Manado_North Sulawesi, 2025

店内でいただく場合は、ちゃんとお皿で出してくれます。
でも葉っぱにくるんだのが欲しいじゃないですか。
なので、翌朝に改めて出向いて「持ち帰りで」と注文したのでした。

マナドごはん Manado_North Sulawesi, 2025

とにかく、何を食べても美味しかったマナド。
美味しい上に、それほど胃腸に負担がない印象(唐辛子の辛さについては別のお話、笑)。
そんなマナド料理をどう作るのか、習ってきたので、それはまた次回に。


2024/07/12

パプアの食卓④:山の塩

塩を採る Baliem_Papua, 2024

海から遠く離れた内陸高地パプアで、かつての人々はどうやって塩を手に入れていたのか。
(今は、普通にお店で市販の塩が買えます、もちろん)。

芋も野菜もバナナもサトウキビも、豊かに育つ高地のバリエム渓谷。
暮らしやすい土地であっため、かつて人々はここに定住し生活を築いたわけですが、海は遠いです。
直線距離で一番近い南岸でも180数キロ、そして間には4,000m級の山脈。
北岸へと向かえば、さらに遠くて直線でも240キロ以上。
でも、塩がなくては人って生きていけませんよね。

ヒマラヤに岩塩があるように、パプアのバリエム渓谷には塩の泉がありました。
地球すごい。

ということで、塩の泉まで行って来ました。

泉へ向かう Baliem_Papua, 2024

村で、若いバナナの芽を用意して。

泉へ向かう Baliem_Papua, 2024

この真っ直ぐ行った森の中を登っていきます。高低差300mくらいのところを、1時間半くらいかけて。

泉へ向かう Baliem_Papua, 2024

一人だったら絶対迷いそうな、でも、確かに言われてみれば「道」な道。

標高は高く涼しい地域ではありますが、赤道直下の熱帯の森であることには変わりなく、
湿気と、ぬかるみすべりがちな足元と、強い日差しの中をひたすら登っていくのはなかなか大変。
しかもここの人たち、直線で登るんですよ。左右に蛇行とかせず、真っ直ぐ目的地を目指す。ひー。

泉へ向かう Baliem_Papua, 2024

わたしが「ひー」とか言って一休みしていたら、やはりバナナの芽を担いだ別の一行が抜いていきました。
地元の人たちなら、わたしが1時間半かけた行程も、1時間足らずで行けてしまうそうですよ。

ようやく辿り着いた泉は、幅3mほどの、水溜まりにも見えるような場所。

塩水の泉 Baliem_Papua, 2024

深さも膝下くらいまでで、濁った水が静かに溜まっている感じ。
でも、これが塩の泉。

追い抜いて行った一行が「飲んでみろ」と言うので、掬って口に入れてみました。
海水よりもずっと濃度の高い塩水。しかも、なかなかに良いお味。
「美味しい!」と言うと、みんなとても誇らしげな顔になりました。

で、どうやって塩を「採る」のか。
運んできたバナナの芽の出番です。

バナナの茎をしごく Baliem_Papua, 2024

まずは、茎の部分をヘラ状にした木の枝でしごき、バナナの水分を抜いていきます。
ぎゅうぎゅうと力を入れてしごくと、下の切り口からはバナナのアクを含んだ灰色の水分が。
一枚一枚剥がしながら、ぎゅうぎゅう。ぎゅうぎゅう。

次にそれを泉に放り込み、今度は塩水の中で揉み込みます。
揉んでは水の中に放置し、再び絞るようにして揉んで、また放置し。それを何度も繰り返します。

バナナを絞る Baliem_Papua, 2024

塩気に触れると植物から水分が抜けていくわけで、
絞って揉む作業を繰り返すことで、アクを含んだバナナ自体の水分は抜け、
代わりに、たっぷり塩水を吸わせることができるようになるのです。

バナナはこの一帯でかなり早くから栽培されていた、とても繊維の強い植物。
そして、木ではなく草なので、水分を抜く作業もさほど難しくはないんですよね。

放置中 Baliem_Papua, 2024

絞り中 Baliem_Papua, 2024

ただ、バナナの芽の、真ん中の部分。ここは、柔らか過ぎてこのプロセスには耐えられません。
どうするか。

バナナの芯 Baliem_Papua, 2024

塩水の中で、手でパキパキと砕いていくんですね。
ぴらんと一枚ついていた葉を、船のように浮かべてその上で。
砕いたら、散らないように気をつけながら塩水と合わせて、優しく揉んで、放置して、を繰り返します。

バナナの芯 Baliem_Papua, 2024

バナナの芯 Baliem_Papua, 2024

で、頃合いになったら、葉っぱでくるくるっと巻いてできあがり。水にぷかんと浮かせておきます。

が、我々は、それを回収。

バナナの芯 Baliem_Papua, 2024

これは、スナック的なおやつなのです。
塩もみですからね、美味しいに決まっています。
シャキシャキとしたバナナの芯の歯ごたえと、まるんとしながらもしっかりとした塩気。
お土産として持ち帰るために包んだのでしょうが、結局一瞬で食べてしまいました。
思い出して、今また食べたいくらい。

この作業、今はこうやって若いバナナの芽を使っていますが、
昔は、もっともっと太い幹のものを何本も担いで(厳密には頭から背後に垂らした袋に入れて)やって来て、
大量に漬け込んだのだと言います。

本来のやり方としては、こうしてバナナのアクを抜いて、繊維に十分に塩水を含ませたら、
しばらくその場で、持ち帰ることができるくらいまで乾かし、
集落に持ち帰った後、木の皮などでしっかりと包んで丸木のようにしてから炭状になるまで燃やし、
その灰をほぐして「塩」として使用していたのだそうです。

この小さな泉が、かつてはこの谷一体の塩をまかなっていたと言います。
バナナの繊維を担いで帰路についた人々は、道道の別の集落の人たちに迎えられ、
(出発時に「あ、あの人たち塩取りに行く」と気づいて待っていたのでしょうね)
そこに立ち寄っては飲み食いをして、交流をしていたのだとか。
さっきの、葉っぱに包んだ芯の部分は、そういう時に渡すお土産のようなものにもなったのかもしれません。

昔からずっと、枯れずに、真水の水流と混ざったりすることもなく、ずっと塩分を維持し続けてきた泉。

漬け込み中 Baliem_Papua, 2024

この一帯で、塩が貴重なものだった名残なのでしょうか、
集落に限らず、例えばホテルのレストランで出される料理の味付けなども、
インドネシアの他の地域と比べて、塩味がとてもマイルドな印象を受けました。

途中でわたしたちを追い抜いて行った一行は、バナナの芽だけでなく、ポリタンクや水筒も持参していました。
持ち帰った水は、そのまま料理の味付けに使うのはもちろん、
お腹が下っている時に飲ませて、お腹の中の毒素を全部流し出すとか、
傷があればこの水に浸して治すとか、いろんな使い方があるのだそうです。

水筒に入れた塩水は「帰り道はこれを飲みながら行く」のだと言いました。
わたしの感覚では、海水より濃いような塩水をそんなに飲むなんて危ない気がしてしまうのですが、
彼らは、ここの泉の水に絶対的な信頼を置いているようです。
「市販の塩よりずっといい」のだと言います。

塩を採る Baliem_Papua, 2024

かくもスペシャルな、山の塩。
その採取の過程が見られたのはとても面白かったです。山登りも気持ちよかったし。

次回は、山のパプアからもうひとつスペシャルな食べ物「ブア・メラ」について。


2023/03/19

ロンボクの食卓②

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023
 
ということで、プレチン/Plecingをあれこれ作った前回→
今回は、それ以外の「唐辛子が効く」お料理を。

まず、前回プレチンにも使ったバナナの花を使ったひと皿。
ペララ・ジャントゥン・ピサン/Pelalah Jantung Pisangと呼ばれる、バナナの花のココナッツミルク煮込みです。

使うのは、バナナダイバーシティ・インドネシアの、かなりの広範囲で愛されているクポック/Kepok種の花。
大きなガクの部分は除き、花の部分を分けていきます。

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

花をひと掴み手に取り、先端(オレンジが濃い部分)の部分を反対の手の平でぐりぐりしてほぐし、
取り出しやすくなった中の雄花をぷちぷちと引っこ抜いていきます。こういう黙々とやる作業好き。

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

花のもう真ん中のあたりまできたら、ガクの部分もろともと、適当な大きさに切ってしまって大丈夫。

一方、味付け材料。

ペララのセット Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

これがペララのセット。
乾燥の唐辛子が登場。これは、他の地域でもあまり見かけないのです。
インドネシアはほぼどの地域でも唐辛子を好んで料理に使いますが、乾燥のものを使う地域は非常に少ないのです。
なので、ちょっと「おお!」となりました。
小粒のラウィットではなく、大きな方の唐辛子を干したもの。
ロンボクでは、スビエ・ビデン/Sebie Bideng =Cabai Hitam=黒唐辛子、と呼ばれるそう。

市場の乾物売り Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

材料を買いに行った市場でも、乾物売りの豆などに並んで乾燥唐辛子が売られていました。

ちなみに、右の上側、オレンジと紫のビニール袋に入っているレンガのようなものがトラシ。
ロンボクのトラシは美味しくて有名なのです。
以前料理を教えてもらったバリのおうちでも「うちのトラシはロンボク産」と言っていました。
魚醤など同様、エビを発酵させたペーストなので強烈なにおいではありますが、その旨味もまた強烈。
適量を使うと、味わいがぐっと底上げされます。

そして、その乾燥唐辛子に加えて、小さな唐辛子、ニンニク、キャンドルナッツ、もちろんトラシも。
それから、これもちょっと珍しいかな、ナガコショウも加わります。

ナガコショウ Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ナガコショウの中でも、ジャワナガコショウと呼ばれるもの。
これらの材料は全部、ブレンダーで滑らかにしておきます。

続いて、バナナの花の下茹で。

バナナの花(下茹で) Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

アクが強いので、その苦味を除くのが下茹での目的。

それから、ココナッツミルクも準備します。
熟れたココナッツの果肉の部分をおろし、そこに水を加えてよく揉んで絞ったものがココナッツミルク。

ココナッツミルク Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

たっぷりの油で滑らかにしておいたペララのセットを炒め、火が通って香りがたったところでココナッツミルク。

ペララ Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ペララ Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

塩、砂糖、うま味調味料、なので味を整えて、下茹でしておいたバナナの花を加えます。

ペララ・ジャントゥン・ピサン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ほどほどに水気が減ったあたりでできあがり。
歯応えのあるバナナの花にコクのあるソースがいい感じに絡みます。
これも、油、砂糖使いはもちろん、ココナッツミルクを使うことで唐辛子の辛味はだいぶマイルドに。

同じようにココナッツミルクと唐辛子の組み合わせをもう一品。クチチャン/Kecicang。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャンとは、トーチジンジャーのこと。材料の名前のまま。
料理名を聞いたら「クチチャンだねえ」との返答。トーチジンジャーといえばこの調理法、ということなのかな。
トーチジンジャーの香りが大好きなわたしは、このお料理は「ぜひ!」とリクエストしたのでした。

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

買ってきたクチチャンの茎を、どんどんどんどん剥がしていき、真ん中の白くて柔らかい部分だけにします。
なんて贅沢!

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

それをしゃしゃしゃしゃしゃと刻む。まな板も使わず。

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

そして、水で揉む。アクだしの下処理ですね。

通常のクチチャンの場合、このトーチジンジャーだけを使うのだそうですが、
わたしの友人宅では、ここに叩いた牛肉を入れる贅沢バージョンにしているのだそう。
赤身の部分をたんたん叩いて、粗ミンチ状に。これは旨味ましましでしょう。

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

そして、シャロットや大きい唐辛子の一部も、これまたまな板を使わずしゃしゃしゃしゃと切り、

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャンのセット。

クチチャンのセット Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ざく切りの大きい唐辛子、小さい唐辛子、にんにく、トラシ、塩、砂糖、はまとめてブレンダーで滑らかに。

まずは、薄切りにした大きい唐辛子とシャロットを炒めます。もちろん、たっぷりの油で。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

シャロットのふちがややカラッとしたかな、の頃合いで、滑らかにした材料を加えて混ぜ合わせます。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

牛肉を入れてざっと炒め合わせ、さらに水分を絞ったトーチジンジャーを加えてさらに混ぜます。

お料理を教えてくれたお姉さん、材料を合わせる作業の時、必ず「ビッスミラー」と小さい声で言います。
なんだか美味しくなるためのおまじないのようで、わたしも真似していました。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

全体がいい塩梅に混ざったところで味を確認し、そしてココナッツミルク。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ペララと比べて、こちらはココナッツミルクの量は控えめに。ペララより水気少なく仕上げます。

ということで、この日に作ったものを持ち帰っての友人宅での晩ごはん。

お料理教室仕上がり Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

右上のタッパーから、時計回りで、
プレチン・コマック、クチチャン、焼き茄子のプレチン、ペララ・ジャントゥン・ピサン、バナナの花のプレチン。

お料理教室仕上がり Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

盛り付け。
ご飯が進むのです。

あ、そうそう、ロンボクの、と言ってしまうと広すぎるか、ただ、この友人宅でいただいたお米が、
これまたすごく美味しいお米だったんですよ。
ローカル米なのですが、艶やかで、ぱさつかず、かと言ってベタつかず、くどくないみずみずしい甘みもあり。
なんか、端々でロンボクの地の力を見せられている気がしました。

実はこの前日にもお姉さんのお料理を分けていただいていたのですが、
その中から、フレッシュの唐辛子を使ったこちらのお料理も一緒にご紹介。

レラスック Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

カチャン・パンジャン/Kacang Panjang=ジュウロクササゲを使った、レラスック/Lelasuq。
唐辛子、シャロット、トマトを刻んで、小さく切ったカチャン・パンジャンと混ぜ合わせたもの。
味付けは、トラシ、塩、砂糖、化学調味料、にコブミカン。

レラスック Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

材料全部をわしわしっと混ぜ合わせたら出来上がり。
シンプルですが、辛味と旨味に生のジュウロクササゲの青臭さとコブミカンの香りが程よくマッチ。
歯応えの良さもあり、いくらでも食べられます。

わたし、これをベベルック/Beberuqと勘違いしていたのですが、
ベベルックは、メインの野菜以外をチョベなどで潰してあるものを言うのだそうです。
また、ベベルックはだいたいフレッシュの丸茄子。ジュウロクササゲはレラスックになるようです。

ベベルック Jakarta, 2023

ジャカルタのアヤム・タリワンによくついてくる、これがベベルック。
ちなみに、このベベルック、割いたチキンで作るのもあるらしく、それはそれで美味しいに違いない。

ロンボクごはん Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

このプレートの右下がレラスック、左下がベベルックです。
ちなみに、レラスックの上にあるのが、前回の記事でブレブレだったキノコのプレチン(笑)。

いわゆるよそゆきの「ご馳走」ではなく、家庭料理を教えてもらえてたからというのもあるのですが、
ロンボクの野菜を使った料理はとても豊富。そして、その野菜がとても美味しいので感動します。
立派な火山を抱く島なので、土質がいいということもあるのでしょうね。
ということで、この↑プレートに乗ってるあと2つと、その他の野菜料理、そしてお肉料理については次回で。

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023