2017/10/17

バリの食卓③

豚サテ Bali, 2017

ということで、前回は魚を作った料理のご紹介でしたが、今回は肉を使った料理たちを。

まずは、ブンブ・バリを使った鶏料理から。
アヤム・ゴレン・ブンブ・バリ/Ayam Goreng Bumbu Bali。そのまんまのネーミングですが。
アヤム=鶏、ゴレン=揚げ、つまりブンブ・バリを使った鶏の唐揚げみたいな感じです。

一口大に切った鶏にざっと塩で下味をつけたら、まずは揚げてしまいます。

アヤム・ゴレン・ブンブ・バリ Bali, 2017

そして、揚げ上がったらいったん油を切っておいて、ブンブ・バリの準備です。

アヤム・ゴレン・ブンブ・バリ Bali, 2017

残った揚げ油適量にブンブを入れて炒め、香りが立って来たら水を加えて塩で味を整えます。

アヤム・ゴレン・ブンブ・バリ Bali, 2017

そこに、鶏を戻してふつふつと煮込みます。

だったら、揚げなくてもいいんじゃない?とわたしは思うのですが、
お父さんは、先に揚げることで鶏の味が逃げないんだと言います。
インドネシアでは、肉にしろ魚にしろ、しっかり加熱することが好まれるので、
そういう好みが反映されているのかもしれません。

アヤム・ゴレン・ブンブ・バリ Bali, 2017

強めの火力で一気に水分を飛ばしたら、できあがり。

アヤム・ゴレン・ブンブ・バリ Bali, 2017

熱々のうちが美味しい、旨味から揚げ。

同じようにブンブ・バリを使った鶏料理というと、バリ名物のアヤム・ベトゥトゥ/Ayam Betutuがあります。
バリ北部の町、ギリマヌクの名物料理らしく、
ギリマヌクを通った際に、ある通りでは右も左もアヤム・ベトゥトゥ屋ばかりで驚きました。

そんなアヤム・ベトゥトゥも作ってもらいました。
お父さんの家についた時には、既にこういう状態で蒸されていたのですが…。

アヤム・ベトゥトゥ Bali, 2017

地鶏のお腹の中に塩を加えたブンブ・バリとサラムの葉とコブミカンの葉を入れて閉じて蒸したもの。
外側にもブンブは塗っていますね。圧力鍋を使った方が柔らかく美味しくできるよ、とお父さん。
お尻を縛られている鶏がかわいい(?)です。

で、お店で食べるアヤム・ベトゥトゥは汁っぽいものもよくあるけどもあれは違う!とお父さん。
スープとして別途飲むのはいいけども、鶏はこの後ローストするのが美味しいんだ、と言います。

ということで。

アヤム・ベトゥトゥ Bali, 2017

魚の時と同じく、椰子殻を使って外側を炙ります。

同じブンブ、同じ素材(鶏)。
でも、アヤム・ゴレンとアヤム・ベトゥトゥはちゃんと味が違うんですよね。
油も調味料として生きるのが揚げもの。そして、蒸して焼いた場合はジューシーで且つスモーキー。
どちらもバリらしい味わいの鶏料理です。

そしてもう一つ、バリならではの、豚のサテ

これは、お父さんをして「何を作っても旨い」と言わしめるお母さん(奥さん)の担当。
西ジャワ出身のお母さん、西ジャワ地方のスンダ料理はもとより、西スマトラのパダン料理、
そして当然のことながらバリの料理各種をこなして、ケータリングなどを受けたりもしている料理上手。

豚サテ Bali, 2017

インドネシアは、その大多数がイスラム教徒であるため、豚を食べる機会というのは限られます。
特に、人口が一番多いジャワ島、それに次ぐスマトラ島(一部を除く)に多くイスラム教徒が暮らすため、
イメージとして豚料理というのはとてもマイナーな印象を与えるかもしれません。
加えて、インドネシア国内で出版されているインドネシア人による料理本では、
豚を使ったレシピというのはほとんど目にすることはなく、そのマイナー感を一層強めています。
著者自身が豚を食べられないというケースも多いでしょうし、著者自身は問題なくとも、一般に配慮した際に、
禁忌とされる食材を取り上げることを避け、言及せずにおくという場合もあるのでしょう。
とはいえ、ヒンドゥー教徒が多くいるバリを始め、他のキリスト教徒の多い地域など、
豚を料理して食す地域は、当然ながらインドネシアにも各地あり、
その土地の食文化を反映させているものであるそれらを、なかたったことにしてしまうというのは、
とてももったいないと思うのです。

ということで、せっかくなので、バリらしく、豚のサテをリクエストしたのでした。

ソースの材料をばばばばっと。

ガランガル、生姜、バワン・メラ、ニンニク、唐辛子(大、小)、塩、コリアンダーシード、クミンシード。
を潰して炒め、香りが出たところで水分を適量足す。
タマリンドを水で揉んで酸味を出したもの(又はトマト)、と最後にパームシュガーを加える。
という手順の、タマリンドを加えたところで、適当な大きさに切っておいた豚肉を加えて煮詰めていきます。

豚サテ Bali, 2017

この、スパイスの中に入っているクミンシードですが、
もしかしたらこれは、バリのオリジナルというよりも、
西スマトラの料理などをこなすお母さんのアレンジかもしれません。

今回は脂身も十分にある豚肉を使っているので、ソースの材料は上記のままですが、
もし脂分が足りない場合は、キャンドルナッツを潰したものをブンブと一緒に加えてコクを出すといいそうです。

ふつふつといい具合に煮えているところに、パームシュガー。

アレン砂糖 Bali, 2017

これは、お母さんの地元ので採れたアレン砂糖だそう。
西ジャワはパームシュガーというとアレン砂糖が多いんですよね。わたしも好きです。

この砂糖を溶けやすいように刻んで、お鍋に加えます。

豚サテ Bali, 2017

コク増し。

豚サテ Bali, 2017

このくらいまで煮詰めます。脂が分離してますよね。

豚サテ Bali, 2017

これを、3〜4切れずつ串にさしていきます。

で、後はまたしても椰子殻の出番。
表面がカリッとなるくらいまで焼きます。

豚サテ Bali, 2017

ああ、いま見てもお腹がすく。

豚サテ Bali, 2017

先ほどの残っていたタレはタレとしてかけて食べても美味しいです。

このサテ、絶品。
どのスパイスが突出することもなく、調和して風味を出しているのは、さすがお母さん。
その風味に、脂身とパームシュガーでコクと深みが加わって、でも甘すぎず、くどすぎず。
ほんとさすがです、お母さん。
で、表面が乾いて歯ごたえが出るくらいまでの程よい焼き具合は、お父さんの功績。

少し包んでもらって、翌日バンドンまで持ち帰って夫に食べさせたのですが、
これまで食べたバリの豚サテの中で最高、と彼も言っていました。

ということで、次回は、バリらしいサンバルと野菜料理について、です。

お楽しみに。


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