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2017/03/04

タウチョ・メダン/Tauco Medan

タウチョ・メダン Bandung_West Java, 2017

突然ですが「かおるさんのレシピ」コーナー、始まります。あ、えっと、勝手に始めます。

かおるさんは、いつも美味しそうなインドネシアごはんを作っている、在インドネシアの友人です。
北スマトラのメダン出身のお義母さま直伝料理であったり、
お邪魔してつまみ食いしたくなるようなおやつだったり、わたしは作ったことないものばかり。
お料理教室とかやって欲しいなあ、とお願いしてみたら、レシピを教えてくれました。
ので、そのレシピを元にわたしが作ってみて、ここでご紹介することにします。
いわば、わたしが遠隔操作されてるわけです。
「コーナー」とか勝手に言っているのは、これからも教えて欲しいなあという希望に基づいた先手(笑)。

ということで、第一回(勝手に)は、タウチョ・メダン。
昨日アップしたタウチョを使った料理です。
というか。
そもそも、このレシピを教えてもらったことから始まって、タウチョのことを調べたのでした。
今回はテンペを使いましたが、テンペを(もしくは一部を)豆腐(木綿)やエビなどに置き換えても可。
エビだとおもてなしにも向きます、とのことです。

テンペ・タウチョ(材料) Bandung_West Java, 2017

【テンペ・タウチョ】
テンペ 170gほど
チャベ・メラ・ブサール 2本
チャベ・ヒジャウ・ブサール 2本
バワンメラ(シャロット) 4粒
ニンニク 1片
ショウガ 1cm
ナンキョウ(ガランガル)/Lengkuas 1cm
サンバル 適量
サラムリーフ 1枚
トマト(完熟ではない、少し青っぽいもの) 1個
タウチョ・チャイル 大さじ2
水 100ml
砂糖 小さじ1
塩 小さじ1弱
油 適量

タウチョは、せっかくのメダン料理なので、メダンのタウチョを使います。
テンペはうちにあったのが200gだったので、実際には200g使っちゃっています。
サンバルは、甘くないものをとのこと。

1.切る
テンペ(または豆腐)をサイコロに、
エビの場合は背わたを取って、小さいのはそのままで、大きいものは半分に切ります。
チャベそれぞれは、中の種を抜いて細切りに、トマトは櫛切りにしておきます。

2.揚げる
テンペ(または豆腐)を油適量でかりっときつね色に揚げ、油切りしておきます。
(エビは揚げない)

テンペ Bandung_West Java, 2017

3.ブンブ/Bumbuの準備
ブンブとは、インドネシア料理を作る際の「基本調味料」みたいなものです。
通常、球根野菜や香味野菜などをペースト状にしたものを指します。

ここでは、バワンメラ、ニンニク、ナンキョウ、ショウガを潰し(フードプロセッサー等を使ってもよい)、
好みの量のサンバルと混ぜておきます。

4.いざ。
油適量(大さじ2ほど。テンペを揚げた油で大丈夫)に、サラムリーフと3のブンブを加え弱火で炒める。
→香りがたってきたら細切りにしておいたチャベも入れ、やや中火にして炒め続ける。
→チャベに油が渡ったら、テンペ(豆腐、又はエビ)とトマトを入れ、
→(エビの場合は火が通るのを待ってから、テンペや豆腐ならすぐに)タウチョと水を加え、
→沸騰したら、砂糖と塩を入れて味を整えてできあがり。
(砂糖と塩は、使うタウチョの味にあわせて加減して下さい)

タウチョ・メダン Bandung_West Java, 2017

これ、白ごはんに合いすぎて危険です。
発酵調味料のタウチョに加えて、かりっと揚げたテンペも発酵食品な訳で、旨味x2なんですものね。
チャベ・ブサールは種を除いているので、唐辛子からの辛さはありません。
辛味はサンバルで調整するので、マイルドに作ることも可能です。
トマトの酸味もほどよく、味噌に慣れ親しんだ日本人にはとても食べやすい料理だと思いますよ。


2017/01/17

ジャグン・ボセ/Jagung Bose

ジャグン・ボセ Bandung_West Java, 2017

トウモロコシのお粥です。

ジャグンはインドネシア語でトウモロコシのこと。
東ヌサトゥンガラ州からの最後のごはんは、ジャグン・ボセというお粥です。

市場のトウモロコシ Rote_East Nusa Tenggara, 2016

インドネシア、実はトウモロコシの生産量が結構あります。
データによると、世界で8位くらいの生産量とか。

とは言え、こういうデータに載ってくる数字が果たしてどこまで正確なのかというのが怪しいものインドネシア。
なので、まあその前後と思って、世界10位以内というくらいでしょうか。
ASEAN諸国の中では第一位のようです。

インドネシア国内でのトウモロコシ栽培地を見ると、最大は東ジャワ。
そして、中部ジャワ、南スラウェシ、南スマトラ、北スマトラ、あたりが主力となるようです。
東ヌサトゥンガラは量ではこれらの地域には及びません。

市場のトウモロコシ Rote_East Nusa Tenggara, 2016

ただ、これら規模の大きな産地で作られるトウモロコシの大部分は、飼料としてのトウモロコシ。
実際、大規模畜産もこれらの地域に多く集り、それはやはりトウモロコシを当て込んでのことだと思われます。
(とはいえ、東ジャワ料理にもトウモロコシご飯とかあるのですが)
食料としてのトウモロコシの消費量、という観点に切り替えると、
東ヌサトゥンガラ州(の、特に農村部)は、インドネシア有数のトウモロコシ消費地域となります。

東ヌサトゥンガラ州は、多少の地域差はあるものの、乾燥がちの痩せた土質の島々が多く、
米などの作物栽培可能な期間は雨季の3-4ヶ月間だけ、という地域も少なくありません。
そういう環境下にあって、稲ほどの多くの水量や灌漑が必要でなく、
その短期間に収穫可能なトウモロコシというのは非常に条件に合った作物。
今回訪れたのがちょうど雨が降り始めた季節だったこともあり、
畑のみならず家々の庭にも、沢山のトウモロコシの苗が植えられていました。

市場のトウモロコシ Rote_East Nusa Tenggara, 2016

野菜としてのトウモロコシではなく、主食としてのトウモロコシ。
おやつにも、潰したトウモロコシのチップスや、ポップコーンなどが出てきたりします。

市場にも、乾燥させたトウモロコシがずらっと。
その中で、白い実に赤い豆を混ぜて売られているのがありました。
おばちゃんに「これは?」と聞くと「ジャグン・ボセ」との答え。
「ジャグン・ボセって?」「ジャグン・ボセはジャグン・ボセなのよ」としか返ってきません。
むう。

とりあえず、1カップ分買ってみることに。そして、後から検索。
白いのは脱穀しているから。お粥のようにして食べるらしい、と判明しました。

市場のトウモロコシ Rote_East Nusa Tenggara, 2016

と、クパンで泊まっていた宿のママがジャグン・ボセを作れる、との朗報。
結局、滞在中は、忙しかったり雨が降ったり(地面も薪も濡れてしまって)で作ってはもらえなかったのですが、
作り方を教えてもらってきて、バンドンのわが家で挑戦しました。

ジャグン・ボセ Bandung_West Java, 2017

ママのアドバイスは以下の通り。
- たっぷりの水で柔らかくなるまでじっくり煮ること。
- 浸水はしない(した方が早く煮えるけどね、美味しさが逃げちゃうの。とのこと)。
- 一緒に炊くのはカチャン・ナシ/Kacang Nasi。

カチャン・ナシとは。ナシはインドネシア語で「ごはん」を意味するんです。
ごはん豆?
調べてみると、確かにライスビーン/Ricebeanという名の豆。日本語ではツルアズキと言うそうです。

ということで、いざ。分量なしのレシピもせっかくなので(レシピってほどのものですらないのだけど)。

【ジャグン・ボセ】
脱穀した干しトウモロコシ
ツルアズキ

ココナッツミルク


1.煮る
たっぷりの水を湧かし、トウモロコシとツルアズキを煮る。
弱火でじっくり、柔らかくなるまで。途中、水分が少なくなってきたら随時適量を足す。

2.味付け
ココナッツミルクと塩を加えて、味を整える。
出来上がり。

検索すると、ターメリックを使ったものや、カボチャを入れるもの、豆の種類が多いもの、あるのですが、
ママの教えの通りの一番シンプルな作り方でやりました。
(「そのものの味があるから塩はなくてもいいわよ」とすら言いましたからね、ママ)
ジャワで豆のお粥というと、甘く煮た緑豆のものが一般的で、
なので、どうにも砂糖やシナモンやパンダンリーフなどを入れたくなってしまうのですが、耐えました。

ジャグン・ボセ Bandung_West Java, 2017

食べてみます。
トウモロコシは、いわゆるスイートコーンのようなものではなく、もっと粘度の高い品種です。
ココナッツミルクが入っているとは言え、噛めばトウモロコシの味と豆の味。
素朴な味。
まあ、例えば毎日の朝ご飯として食べるものだと考えたら、このくらいシンプルでちょうどいいのかも、とも。

で、出来上がったところで、クパンのTに「これで合ってるんだろうか」と写真を送ってみました。
(写真では味は分からないんだから、あんまり意味はないのかもしれないんですが)
で、このボウルの半分ほど食べたところで、Tから返信が。
「潰した唐辛子とクマンギとライムと塩のシンプルなサンバルで食べるのが好き」
とのこと。

即作りました。

シンプルサンバル Bandung_West Java, 2017

唐辛子は赤く熟れたチャベ・ラウィットを。他は目分量で適当に。
そして、このサンバルを加えて、再びジャグン・ボセ。

美味しくって、思わず声を出して笑ってしまった。

素朴で地味だったトウモロコシのお粥が、唐辛子と塩によって締まりがでて、クマンギとライムで爽やかに。
素晴らしいですね、このシンプルなサンバル。ついおかわりしてしまいました。

こうなると、俄然また作りたくなります。
でも、脱穀したトウモロコシが果たしてバンドンで手に入るのかが問題です。
普通の乾燥トウモロコシを買って、自力で脱穀ってできるものなのかどうか。悩ましい。

ジャグン・ボセ Bandung_West Java, 2017

インドネシアの東側、特にヌサトゥンガラ諸島界隈には、
例えばジャワやスマトラにあるような食文化は、あまり期待していなかったんです、実は。
これまでも東ヌサトゥンガラ州には何度も足を運んでいて、土地として大好きなのですが、
その際に食べた食事の印象がそう思わせていたのでしょうね。
反省します。
確かに、他の地域のように多種多様のスパイスや食材を使う訳でもなく調理方法も至ってシンプルなのですが、
それがここの土地の食事の魅力なのだなと、気づきました。
また今度行く時には、どこかのお宅のキッチンに入り浸ってあれこれ教えてもらいたいなと思います。


2017/01/14

イワシのラワール/Lawar Sarden

イワシのラワール Kupang_East Nusa Tenggara, 2016

お酢で〆た魚料理を東インドネシアで教わりました。

これもまた、年末年始を過ごした東ヌサトゥンガラ州クパンでの話しです。

ラワールというと、一般的にはバリ料理のイメージが強いかもしれません。
バリのラワールは色々な野菜やココナッツと、刻んだ肉などを合わせて味付けをした家庭料理。
(美味しいんです。いずれまた書きますね)
対してクパンのラワールは生の魚がメインで、香草やシャロットなどをぱぱっと加えたもの。
混ぜ合わせる料理という意味では似ていますが、バリのものに加えてずっとシンプルな印象です。

特徴は、火を使わず酢を使うこと。

インドネシアでここまで酸味がはっきりした料理は初めて食べたかもしれません。
一般的に、特にジャワの人たちは、酸味があまり得意ではなく、
なので酸っぱい料理と言っても、塩気や甘味に酸味を足した程度のもので、至ってマイルドなのです。
それを受けて「インドネシア人は酸味が苦手」と思っていたのですが、
ホント、一概に言ってしまってはいけませんね、このイワシのラワールは酸味を全面に出しています。

ということで、分量なしですが作り方を紹介します。
これも、焼き茄子のサンバルを作ってくれたTとAのレシピです。

【イワシのラワール】
小イワシ(生)/Ikan Sarden (mentah)
酢(できればロンタルの)/Cuka (cuka tuak)
シャロット/Bawang Merah
クマンギ/Kemangi
唐辛子(チャベ・ラウィット)/Cabai Rawit
塩/Garam

1.イワシの頭を除く
小イワシを真水にとって、頭を取り除く。

小イワシ Kupang_East Nusa Tenggara, 2016

暗い中で光るようなイワシの目。これ、まんま煮干しの顔ですね。

2.酢に漬ける
頭を除いた小イワシをざっとすすいで水気を切り、ひたひたの酢に漬けてしばらくおきます。

小イワシ Kupang_East Nusa Tenggara, 2016

しばらく漬けると、半透明だった身が白くかわってきます。酢〆ですね。
そうしたら、漬けていた酢を一旦捨て、改めてひたひたくらいに酢を注ぎ入れます。

3.味付け
そこに、刻んだ唐辛子、シャロット、クマンギの葉を加えて混ぜ合わせます。
味を見ながら、酸味が尖りすぎていれば塩を足し、全体が馴染むまでちょっと待って、出来上がりです。

イワシのラワール Kupang_East Nusa Tenggara, 2016

使うお酢がロンタルの酢だと、更に美味しいです。

実は、このイワシのラワール、2度作ってもらったんです。
最初は普通のお酢。日本の米酢より更に尖った酸味の、インドネシアの合成酢です。
そして翌日、近所のお家でロンタルのお酢を分けてもらって、再度。
ロンタルのお酢はこちらでも書きましたが、樹液をそのまま発酵させて作ったもの。
角の取れた、丸い酸味なんですね。
なので、ロンタルのお酢で作ったラワールはまるっとした味わいです。
尖った酸味のものも美味しかったんですけどね。
米酢でも美味しいんじゃないかと思います。

イワシのラワール Kupang_East Nusa Tenggara, 2016

これを作り始めたのが、夜の22時頃。
ボウルいっぱいのラワールをちびちび食べながら、ロンタルの液糖を水で割ったものを飲む。
合うんですよ、これが。
なんか、お酒飲みながらアテをちびちび、というのと同じですね。
そんな時間に、水で割ったとはいいながら液糖を飲んでいるというのも、ちょっとアレなんですが。

思い出したら、また食べたくなってきました、イワシのラワール。
小イワシに限らず、新鮮で小振りな魚ならなんでも美味しそうです。
山の街バンドンではなかなか難しい食材ですが。


2017/01/05

焼き茄子のサンバル/Sambal Terong Bakar

焼き茄子のサンバル Kupang, East Nusa Tenggara, 2017

2017年、明けましておめでとうございます。

年末からしばらく、東ヌサトゥンガラ州へ旅行に行っていました。
首飾りのように連なるインドネシアの島々の中で、一番垂れ下がった辺り。
今回訪れたのは、その中でもロテ島とティモール島のクパンという街。インドネシア最南端のエリアです。

水色:ロテ島 赤:ティモール島クパン

旅先で出会った美味しいものについて、また書いていきたいと思うのですが、
まずは、クパンで作ってもらった焼き茄子のサンバルからご紹介。

インドネシア各地の料理を見ても、野菜料理のバリエーションというのは、実はそれほど多くはありません。
一つの野菜に対して何通りもの調理方法が出て来る日本の家庭料理に比べて、
インドネシアでは基本的に、炒めかスープの具、もしくは生。
炒める際の調味料に若干の違いがある程度な印象です。

その中で茄子は、比較的いろんな使われ方をしている方かもしれません。
定番はバラドと呼ばれる唐辛子ソースを絡めて炒めたもの。
西ジャワ地方では緑の小茄子をそのまま食べたりもします。
ロデというココナッツミルクのスープに具材として使われたり、
バンダ諸島ではクナリナッツのソースをかけたものがあったり、
フローレスでトマトと一緒に酸味よりの味付けて炒めたものを食べたことがありますし、
焼き魚などの付け合わせとして、素揚げの茄子を出す地域もあります。
気候の面からも夏野菜の茄子には合う土地なのでしょうね。
そして、揚げが多用されるインドネシアの調理法に、油との相性がいい茄子はよく合うのかもしれません。

市場の茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

そんな茄子を使ったサンバル(唐辛子と野菜を潰し混ぜたインドネシア定番のタレ)も、
唐辛子と合わせて炒めた真っ赤なものもあるのですが、
今回のクパンのサンバルは油を使わず、じわじわと焼いた茄子を使います。
サンバルというより、日本人的にはおかずのような一品です。なんてったって、焼き茄子ですからね。

作ってくれた友人のTとAのレシピとして、材料とざっくりの分量も。

唐辛子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

[焼き茄子のサンバル]
緑の茄子/Terong Hijau:3本
唐辛子(チャベ・ラウィット)/Cabai Rawit Merah:適量(ここでは15粒ほど)
シャロット/Bawang Merah :適量(ここでは10個ほど)
キーライム/Jeruk Nipis:2個ほど
レモンバジル/Kemangi:適量
塩/Garam:適量

1.茄子を焼く
まずは、ここからです。
作ってくれた2人は、紫の茄子より緑の茄子の方が好きだとのこと。
若い方が美味しいよ、とA。
かまどの燠火にぽんぽんと置いて直に加熱していきます。

かまどの茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

食事の支度となれば、お米を炊くのに、まずはかまどに火を熾しますよね。
で、お米が炊けたら、お鍋は火から下ろされて蒸らしにはいるわけなのですが、
その残りの炭に、こうやって茄子を乗っけておくのだそうです。
お米が蒸らされてちょうどいい具合になる頃に、茄子も焼けて食べられるようになる。

かまどの茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

皮の色が変わって柔らかくなり、ぷすぷすと言い始めたら頃合いです。

2.唐辛子を潰す
ここからは、サンバル作りの必須アイテム「ウレカン/Ulekan」と「チョベッ/Cobek」の出番です。
インドネシアのご飯を作る際、あらゆるものを潰すのに必ず登場するこの道具。
チョベッは石の鉢、ウレカンはその対となるすり潰すための石のハンドルです。

唐辛子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

チョベッに唐辛子を置いて、ウレカンで擦るようにして潰していきます。

3.混ぜる
あとは、着々と混ぜていきます。

焼き茄子 Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

茄子の焦げた皮を除き、内側の瑞々しい果肉の部分をチョベッに移し、若干潰すようにしながら混ぜます。
Tは粗めの潰し具合が好みとのこと。

焼き茄子のサンバル Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

粗めに刻んだシャロットと、香りのいいレモンバジルを適量ちぎりながらくわえ、

焼き茄子のサンバル Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

キーライムの果汁を絞ります。
そのキーライムの皮も細かく刻んで加えてしまうのが、T好み。
味を見ながら塩をして、もうちょっと、とシャロットを追加して出来上がり。

焼き茄子のサンバル Kupang_East Nusa Tenggara, 2017

これ、美味しいです。
これだけで、白ご飯食べられるくらいに美味しいです。
とてもシンプルな材料で作られているのですが(東ヌサトゥンガラの料理は至ってシンプルです)、
焼き茄子のとろっとした食感も素晴らしく、スモーキーな風味を唐辛子がきりっと引き締めます。
刻んだライムの皮の爽やかな香りと、若干の苦みがとてもいいアクセント。
こうやって書きながら思い出して、もうまた食べたいくらいです。
お試しください。


2016/12/20

ハーブ/Herba

ハーブたち

香りのいい葉っぱたち。

インドネシアのごはんと言うとスパイスたっぷり、なイメージがありますが、
ハーブの印象はそれほど強くないかもしれないですね。
例えばベトナム料理のように香草をふんだん使う料理は確かにあまりなく、
人気のパクチーも、インドネシアではほとんど登場しません(種はスパイスとして使われます)。
インドネシアで使われているハーブ類は、タイやフィリピンのような他の東南アジア地域でも使われていますが、
違いと言えば、インドネシアでは主にスープなどを煮込む際に肉や魚の臭い消しとして使われ、
途中で捨てられてしまう場合が多いこと。ハーブをそのまま口にすることはそれほど多くない気がします。
とはいえ、表だってではなくとも料理の裏方として活用され、あるとないとじゃ大違いなのが、さすがの香草。
使われるものは地域ごとに差がありますが、今回は比較的全国で一般的に使われている種類をご紹介します。

まず、パンダン/Pandanの葉。

パンダンの葉

インドネシアに来た人は、
この葉っぱそのものを意識するより先に、その香りに触れることの方が多いかもしれないですね。

ニオイタコノキ、もしくはパンダナスと呼ばれるこの葉っぱ。
東南アジアでは各地で料理、特にお菓子作りに使われています。
そのままではただのしゅっとした葉っぱなのですがが、加熱するとふんわり独特な甘い香りがたちます。

パンダン

甘いお汁粉や、焼き菓子。あらゆるところで、このパンダンの香りに出会います。
緑色をしたお菓子を見かけたら、まずこのパンダンの色と香りだと思って間違いないかもしれません。

インドネシアではお米を炊くときに使う場合もあります。パンダンの香りの白ご飯。

わたしの中では、インドネシアのイメージととても強く結びついた香りです。
まあ、パンダン自体は道ばたに無造作に植えられているのが常なんですけどね。

パンダン

続いて、セロリ/Seledri。

セロリ

日本でスープセロリ/キンサイとして売られている品種と同じだと思います。
茎が細く緑で、葉の香りがとても強いタイプです。
単独で食べられることはほとんどないのですが、
スープなどで香り消しに使ったり、薬味として浮かせたりされます。
ちなみに、わたしは使い切れなかった分をきんぴらにします。ごま油や醤油にも負けない香りなのです。

つづいてクマンギ/Kemangi。

クマンギ

レモンバジルと呼ばれているもので、その名の通り、レモンに似た爽やかな芳香。
東インドネシアなどの海辺の地域では、魚を使ったスープに入れて生臭さを消します。
西ジャワ地方では、料理の付け合わせのようにして生のままサンバルと一緒に出て来ることでお馴染み。
口の中をすっきりさせてくれます。

このクマンギ、なんとなく1種類ではないのではという気が常にしているのですが、未だによく分かりません。
この上の写真のように、葉に厚みがあって大きくたっぷりしたものもあれば、
うちの庭に生えているクマンギは、もっと葉が小振りで細いのです。

クマンギ

もしかしたら、単に土の栄養状態の問題なのかもしれませんが。

次は、コブミカンの葉/Daun Jeruk Purut。

コブミカンの葉

2枚がつながったような形のが特徴の葉っぱ。柑橘系のとてもいい香りです。
スープのでの臭い消しはもちろん、細く細く刻んで揚げ物の衣に混ぜて風味を出したり、
バリのサンバル・マタ/Sambal Matahにも入っている時があります。

レモングラス

そしてレモングラス。インドネシア語ではセレイ/Sereiと言います。
根元に近い方を叩いて香りが出やすいようにして使います。
これもやはり、肉などを煮込む際の臭い消しが主な用途ではありますが、
西ジャワ地方のバンドレック/Bandrekという、生姜と椰子砂糖を使った温かくて甘い飲み物にも使われてます。

レモングラスは強いので、この根元の部分をぐさっと土にさしておくと根付きます。
パンダン同様、道ばたにわさわさと生えている場合が多いハーブですね。

そして最後に、サラムの葉/Daun Salam。

サラムの葉

英語でサラム・リーフもしくは、インドネシアン・ベイリーフと呼ばれるこの葉っぱ、
用途はやはり主に臭い消し。
他のハーブに比べて、それほど強いわけでも特徴的なわけでもない香りだと思うのですが、
(わたしは、ドクダミの香りに似ていると思うんですけどね)
使うと風味に深みが出る気がします。
煎じたら通風の薬になるとも言われています(民間療法)。

ざざっとインドネシアのハーブをまとめましたが、
例えばスマトラだとカレーの葉とか、ターメリックの葉なども使われるといいますし、
他の地域にもやはりそれぞれ、独特のハーブはあるのだと思います。
その辺りは、また追々、ご紹介しますね。