2017/10/10

バリの食卓②

魚市場 Bali, 2017

ということで、前回のブンブを使ったバリの家庭料理、まずは魚料理から。

魚料理の準備の前に、お父さんと一緒にバリ島南部のジンバランにある魚市場まで、魚を買いに行きました。

ジンバランの漁船たち Bali, 2017

魚市場前の浜には沢山の漁船と小舟が。

入荷した魚 Bali, 2017

決して早朝ではなかったのですが、それでも続々と新たな入荷があり、市場の中もとても賑わっていました。
鮮度はもちろん、規模としても素晴らしい市場でした。

魚市場 Bali, 2017

魚市場 Bali, 2017

魚市場 Bali, 2017

サバに似た青魚と白身の魚を買って、ぶーーーんとお父さんの台所に戻ります。

始めに、ペペス/Pepesの準備から。
ペペスはジャワ島でもよく食べられる、蒸し料理です。

まずは、切り身にした魚に、ブンブ、塩、砂糖、そしてサラムの葉を加えて混ぜ合わせます。
ここでは、サバに似た青魚の方を使います。

ペペス Bali, 2017

全体にブンブと味を行き渡らせたら、バナナの葉で包み、蒸します。

ペペス Bali, 2017

この前にごはんを蒸してたので、米粒がくっついてますが、まあ気にせずに。ふ。

ペペス Bali, 2017

十分にしゅうしゅうと蒸します。
火が通って蒸し上がったら、今度ざっと炙ります。

ペペス Bali, 2017

炙るのに使っているのは、乾燥させた椰子殻。

燃料の椰子殻 Bali, 2017

火が強すぎず、よく持つからいいのだとお父さんは言います。
が、煙もくもくで目にしみます。

ペペス Bali, 2017

もくもくもくもくもくもく。
目をしぱしぱさせながら待つことしばし。
蒸してる段階で火は通ってるので、ここでは水分をある程度飛ばして風味を足すのが目的。

ペペス Bali, 2017

ということで、出来上がり。

ペペス Bali, 2017

蒸すことでブンブの味が染み込んで、炙ることでふんわり〆る感じですね。
サラムの葉の香りをまとって、とても風味の良いごはんのお供です。

続いては、同じ魚を使ってスープ。

バリの伝統料理の中で、スープの存在感は実はかなり希薄です。
インドネシア各地、ご当地スープが色々あるのですが、バリにはそういうタイプの汁物はあまりありません。
バリの伝統料理は信仰と密接に関わっているということは先にも書きましたが、
捧げものとして祭事の中にある時、汁物は持ち運びし難いからでしょう、という話しを聞いたことがあります。
確かにそれも一理あるよな、という気がします。
とはいえ、町の食堂や家庭での食事では小さなお椀に入った汁物が添えられることが多く、
あまり表には出ないものの、控えめで堅実な立ち位置にあるのかなあ、と思えるのがバリの汁物です。

そんなバリの汁物。バリらしい味をもたらすのは、やはりここでもブンブ・バリです。

魚のスープ Bali, 2017

まずは、油でブンブを炒めます。
香りが立って来たら、水を加え、サラムの葉、塩、砂糖を加えて煮立てます。

魚のスープ Bali, 2017

そこに、一口大に切り分けた魚を加え、火が通れば出来上がり。
長時間加熱すると風味が落ちるので、火が通ったらそれ以上だらだら調理しないこと、とお父さん。

魚のスープ Bali, 2017

魚の出汁がよく出た、美味しいスープです。塩をはっきり効かせて味を立たせるのがお父さん流。

さて、もう一品。

ブンブ・バリとは違う(でも似ている、笑)味付けの焼き魚、イカン・バカール/Ikan Bakarを。
魚市場のあるジンバランは、夜になるとイカン・バカールのお店が沢山でることで有名な所。
そんなジンバランのイカン・バカールの味付けは、基本これだよ、とお父さんが言うのがこちら。

ブンブ Bali, 2017

バワン・メラ、ニンニク、ターメリック、塩、砂糖少々。これを水適量でブレンダーにかけます。

イカン・バカール Bali, 2017

そして、そのブンブに開きにした魚を漬けておきます。
ここで、きちんと味がしみるまで寝かせておくのがが肝要、とのこと。
では、その間にソースを。

イカン・バカールのソース Bali, 2017

唐辛子(本当は小粒のしっかり辛いものを使いますがここではマイルドな大きめの唐辛子)とトマトをメインに、
バワン・メラを少々、ニンニクも若干、そして隠し味程度にトラシを、これまたブレンダーで撹拌しておきます。

他のおかずを作るなどしている間に十分寝かせた魚を、また椰子殻で焼きます。

イカン・バカール Bali, 2017

まずは身側を焼き、その後に皮側を。
ざっと火が通ったあたりで、両面に薄くバターを塗ります。魚が乾いてしまわないように、ということだそう。

十分に焼き上がったら、トマトと唐辛子のソースを塗ります。

イカン・バカール Bali, 2017

素材が生のままのソースなので、更に気持ち分だけ炙って、その尖った味をおちつかせます。

イカン・バカール Bali, 2017

下味がしっかり効いて、バターのお陰でふっくらと焼き上がった魚です。

海魚を、日本のようにそのまま塩焼きにする、というのはバリに限らずあまり見かけず、
ブンブであったり、ケチャップ・マニスであったり、何かしらの下味をつけて焼くのがほとんどです。
そして、魚料理で多用されるのがターメリック。臭み消しの効果を狙っているのだそうです。
ブンブ・バリでもターメリックを使うため、バリの家庭料理は総じて黄色っぽい色になりますね。

魚料理 Bali, 2017

ということで、魚料理のずらっと並んだお昼ごはんです。

手順はいたってシンプルなのですが、基本のブンブ・バリが既に風味豊かな合わせ調味料となっているので、
ぱぱっと作ったいずれも、スパイスから生まれる滋味深さがあります。
また、同じブンブを使っているにも関わらず、調理過程が、焼き、蒸し、炒めから汁物、と異なるので、
テーブルに並んだものがみんな同じ味、ということにもならないのです。

バリは稲作の盛んな土地で、当然主食は米になるのですが、
確かに、これらのバリのおかずは白米によく合います。

モモちゃん Bali, 2017

お母さんがかわいがっている猫、モモちゃんのごはんも白米に茹でた魚を混ぜたものでした(笑)。

と、魚料理をみてみた今回。次回は鶏と豚の肉料理をご紹介します。


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