2016/12/13

バナナ/Pisang ②


市場のバナナ Sangir_North Sulawesi, 2015

先日、インドネシアのバナナについてご紹介しましたが(種類はまだまだあるのでいずれまた追加します)、
今回は、そのバナナの加工品について。

これもまた、バナナの種類に負けず劣らず色々あるのですが、とりあえず、身近なものから。

インドネシアでバナナを使ったおやつと言えば、まずはピサン・ゴレン/Pisang Gorengです。

ピサン・ゴレン Bandung_West Java, 2016

ゴレンとは「揚げる」こと。つまり、バナナに何かしらの衣をつけて揚げたものです。

一番初めの記事で、インドネシアのごはんはひとくくりに出来ない、ということを書きましたが、
それでも、インドネシア料理の共通点を探すとしたら、
調理法として「揚げる」ことが多用される、という部分かもしれません。
特におやつとしてのゴレンガン/Gorengan(「揚げ物」の意味)は、少なくとも私が行った限りでは、
インドネシア各地どこにいっても目にするものです。
そして、インドネシア各地津々浦々に生えているバナナ。
つまりピサン・ゴレンは、インドネシア全国どこででも出会いやすいおやつなのではないかと思います。

ピサン・ゴレン Wakatobi_Southeast Sulawesi, 2015

このピサン・ゴレンは、
南東スラウェシ、ワカトビの小さな離島でお世話になったお家で出していただいたもの。
薄めの、米粉のような衣ですね。

面白いのは、北スラウェシの、もうほぼフィリピンという位置にあるサンギル島で出されたピサン・ゴレン。
サンバル/Sambalがついてきたんです。

ピサン・ゴレンとサンバル Sangir_North Sulawesi, 2015

サンバルは、インドネシア各地色んなバリエーションがあるチリソース。
サンギル島は、料理の面ではインドネシアの中でもとりわけ辛い味付けで知られるマナドに類似します。
なので、このサンバルも、フレッシュチリがたっぷり入った、かなりの辛さ。
甘いピサン・ゴレンに辛いサンバル。この組み合わせ、結構、クセになります。

ピサン・ゴレンに使われるバナナの種類は色々。
クポックが一般的ですが、ムリ/Muliと言われるマスに似た小さなバナナもよく使われます。

同じ揚げるのでも、こちらは春巻き風。

ピサン・アロマ Bandung_West Java, 2016

ピサン・アロマ/Pisang Aromaと言われ、西ジャワ州バンドンでよく見かけるおやつです。
春巻きの皮に、バナナ(クポック、ムリ、ナンカ、など)を巻いて、パリパリに揚げたもの。
トッピングとしてチョコレートやチーズが入っている場合もあります。
余談ですが、この、バナナ+チョコ+チーズ、という組み合わせは割とよく見かけます。
オランダの影響なのでしょうかね。

そして、更に、揚げると言えば。そう、バナナチップスです。

クリピック・サレ・ピサン

この茶色くてカールしているバナナチップスはクリピック・サレ・ピサン/Keripik Sale Pisang。
クリピックというのは、いわゆるチップスです。
バリンとした歯ごたえもよく、噛むとバナナの甘さと酸味がじんわりくるこのバナナチップス。
熟したバナナを使い、基本的には砂糖等は使っていません(お店によりますが)。

サレというのは、後ほどご紹介しますが、干しバナナのことなのです。
ただ、このクリピック・サレ・ピサン、調べても干してるという話しは聞かないんですよね。
揚げるという作業によって、水分が飛ぶ、その状態をサレと呼んでいるのかもしれません。
ちなみに、同じ熟したバナナを使ったものでも、
輪切りにした場合、単にクリピック・ピサン/Keripik Pisangと呼ばれることが多いように思います。
繊維に沿って切っているクリピック・サレ・ピサンより、輪切りの方が歯ごたえは軽くなります。

更に、甘いクリピック・ピサンで私が大好きなのが、南スマトラのランプン名物のこちら。

Yen Yenのクリピック・ピサン(チョコ)

Yen Yenというメーカーのもので、味はいくつかバリエーションあるのですが、おすすめはこのチョコ味です。
笑ってしまうくらいみっしりと、チョコパウダーがついているんですね。
ナチュラルな甘さなクリピック・サレ・ピサンとは対極ですが、これはこれで美味しいのです。

さて、次は、若いバナナを使ったクリピック・ピサン。

クリピック・ピサン Bandung_West Java, 2016

甘くなくて、むしろ塩味。これがまた止まらなくなる美味しさ。
パリパリとした軽さも魅力で、大好物です。

クリピック・ピサン Bandung_West Java, 2016

おじさんが、売っている市場のその場で揚げています。

クリピック・ピサン Bandung_West Java, 2016

たっぷりの油の中に、スライサーで薄くした青いバナナが投げ込まれ、

クリピック・ピサン Bandung_West Java, 2016

じっくりと、頃合いになるまで揚げられます。じゅわーっという音がまたそそるんです。

クリピック・ピサンとピサン・サレ

という、若いバナナと熟れたバナナそれぞれのクリピック・ピサン(上のお皿)。

そして、下のお皿。これがサレ・ピサン/Sale Pisangです。

まず、長い方。サレ・ピサン・バサ/Sale Pisang Basah(湿ったサレ・ピサン)です。
厚みがあって、弾力のある歯ごたえの干しバナナです。
完熟したバナナ(アンボンなど)を適当な厚さにスライスして数日干したもの。
干しながら時々、麺棒などで押して延ばすようにするのだそうです。
伝統的には、煙でいぶして薫製にする方法がとられていたようなのですが、
代替として、亜硫酸水素ナトリウム液につけた後、数日天日干しにする方法も普及している様子。
元々は、中部ジャワのチラチャップ辺りの名物だったようですが、今は他の地域でも見かけます。

そして、薄くて平たい方は、サレ・ピサン・クリン/Sale Pisang Kering(乾いたサレ・ピサン)。
バサと同様、完熟のバナナを使い、バサよりも更に薄くスライスして数日天日干しにした後、
小麦粉の衣をつけて揚げたものになります。
干しバナナなので、普通のピサン・ゴレンよりも締まった歯ごたえなのが特徴ですね。

続いては、ピサン・ヒジャウ/Pisang Hijau。青(緑)いバナナという意味です。

ピサン・ヒジャウ Bandung_West Java, 2016

ラジャ、カポック、タンドゥックなどの加熱用バナナを、まずは蒸して、
そして緑色に着色した米粉でくるんで再び蒸したもの。
氷とともに甘いシロップに入れて出されることが多い、冷たいおやつです。

追記:
読んだ方が教えて下さったのですが、
ピサン・ヒジャウはバリだとピサン・ライと呼ばれるんだそうです。面白い。
ピサン・ヒジャウだと緑のバナナそのものを指すそうで。
同じものでも地域で呼び方が変わるのも、インドネシアだとたまにある話しです。

そして、バンドン名物のピサン・ボレン/Pisang Bolen。

ピサン・ボレン

パイ生地にバナナを包んだもの。
バナナだけのものの他に、チョコレートやチーズが入ったものもあります。
同じパイ包みのバナナでは、
ゴレンガン屋台でもよく売られているピサン・モレン/Pisang Molenというのもあり、
何が違うの?と聞くと、大きさ、という答えでした。ボレンの方が大きいんですね。

またまた余談ですが、うちで以前飼っていた犬は、
仔犬の頃、丸まって寝ているその形も色もまるでこのお菓子みたいだったお陰で、
そのまま「ボレン」と名付けられました。
このお菓子を食べると、ボレン(犬)のことも自動的に思い出し懐かしくなります。

話しをバナナにもどし、最後に、ピサン・ルブス/Pisang Rebus。茹でバナナをご紹介。

ピサン・ルブス

これは、庭で取れたクポックを茹でたもの。
熟れたものと、まだ未熟のもの、両方それぞれ茹でてみました。

クポックは、前回食べ比べた時にも書きましたが、熟れてもそのままだと若干青臭さを感じます。
それが、加熱されることにより甘さと酸味が強くなり、美味しくなるのです。
茹で時間は30分と、結構長め。茹でてる間にアクも出るので、お鍋を洗うのが大変でした。

一方の未熟バナナの方。これは、ちょっと、思ってた味になりませんでした。
中途半端に甘みが出てしまって、どっち付かずの味。何が悪かったのかなあ。

未熟のクポックを食べたのは、東ヌサトゥンガラ地方のフローレス島。

ピサン・ルブス(未熟クポック) Flores_East Nusa Tenggara, 2016

泊まったコテージで(暇だったらしく)、スタッフたちが近くの島にピクニックに行くと言って誘われ、
お供させてもらった時にお弁当として持ってきていたのが、茹でた未熟クポックだったのです。
食感も味も、バナナというより芋。
粘りこそないですが、里芋に近い締まった食感と淡白な味でした。
お弁当のおかずだったお魚と一緒にサンバルをつけて食べるのにちょうどいい感じ。
果物という感じはもうなくて、その野菜のような味にちょっと感動したのでした。

ピサン・ルブス(未熟クポック) Flores_East Nusa Tenggara, 2016

お腹にもたまる、茹でクポック。こんどまた挑戦してみます。

そんな具合で、バナナ加工品。
この先もどこかに行って新しいものを見つけるのでしょうが、その時はまた、改めて。

今回ご紹介したそれぞれの味に出会った場所は、↓のような感じです。



ピンク:ランプン、赤:バンドン、水色:チラチャップ、紫:フローレス、黄色:ワカトビ、緑:サンギル


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