2023/03/19

ロンボクの食卓②

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023
 
ということで、プレチン/Plecingをあれこれ作った前回→
今回は、それ以外の「唐辛子が効く」お料理を。

まず、前回プレチンにも使ったバナナの花を使ったひと皿。
ペララ・ジャントゥン・ピサン/Pelalah Jantung Pisangと呼ばれる、バナナの花のココナッツミルク煮込みです。

使うのは、バナナダイバーシティ・インドネシアの、かなりの広範囲で愛されているクポック/Kepok種の花。
大きなガクの部分は除き、花の部分を分けていきます。

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

花をひと掴み手に取り、先端(オレンジが濃い部分)の部分を反対の手の平でぐりぐりしてほぐし、
取り出しやすくなった中の雄花をぷちぷちと引っこ抜いていきます。こういう黙々とやる作業好き。

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

花のもう真ん中のあたりまできたら、ガクの部分もろともと、適当な大きさに切ってしまって大丈夫。

一方、味付け材料。

ペララのセット Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

これがペララのセット。
乾燥の唐辛子が登場。これは、他の地域でもあまり見かけないのです。
インドネシアはほぼどの地域でも唐辛子を好んで料理に使いますが、乾燥のものを使う地域は非常に少ないのです。
なので、ちょっと「おお!」となりました。
小粒のラウィットではなく、大きな方の唐辛子を干したもの。
ロンボクでは、スビエ・ビデン/Sebie Bideng =Cabai Hitam=黒唐辛子、と呼ばれるそう。

市場の乾物売り Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

材料を買いに行った市場でも、乾物売りの豆などに並んで乾燥唐辛子が売られていました。

ちなみに、右の上側、オレンジと紫のビニール袋に入っているレンガのようなものがトラシ。
ロンボクのトラシは美味しくて有名なのです。
以前料理を教えてもらったバリのおうちでも「うちのトラシはロンボク産」と言っていました。
魚醤など同様、エビを発酵させたペーストなので強烈なにおいではありますが、その旨味もまた強烈。
適量を使うと、味わいがぐっと底上げされます。

そして、その乾燥唐辛子に加えて、小さな唐辛子、ニンニク、キャンドルナッツ、もちろんトラシも。
それから、これもちょっと珍しいかな、ナガコショウも加わります。

ナガコショウ Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ナガコショウの中でも、ジャワナガコショウと呼ばれるもの。
これらの材料は全部、ブレンダーで滑らかにしておきます。

続いて、バナナの花の下茹で。

バナナの花(下茹で) Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

アクが強いので、その苦味を除くのが下茹での目的。

それから、ココナッツミルクも準備します。
熟れたココナッツの果肉の部分をおろし、そこに水を加えてよく揉んで絞ったものがココナッツミルク。

ココナッツミルク Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

たっぷりの油で滑らかにしておいたペララのセットを炒め、火が通って香りがたったところでココナッツミルク。

ペララ Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ペララ Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

塩、砂糖、うま味調味料、なので味を整えて、下茹でしておいたバナナの花を加えます。

ペララ・ジャントゥン・ピサン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ほどほどに水気が減ったあたりでできあがり。
歯応えのあるバナナの花にコクのあるソースがいい感じに絡みます。
これも、油、砂糖使いはもちろん、ココナッツミルクを使うことで唐辛子の辛味はだいぶマイルドに。

同じようにココナッツミルクと唐辛子の組み合わせをもう一品。クチチャン/Kecicang。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャンとは、トーチジンジャーのこと。材料の名前のまま。
料理名を聞いたら「クチチャンだねえ」との返答。トーチジンジャーといえばこの調理法、ということなのかな。
トーチジンジャーの香りが大好きなわたしは、このお料理は「ぜひ!」とリクエストしたのでした。

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

買ってきたクチチャンの茎を、どんどんどんどん剥がしていき、真ん中の白くて柔らかい部分だけにします。
なんて贅沢!

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

それをしゃしゃしゃしゃしゃと刻む。まな板も使わず。

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

そして、水で揉む。アクだしの下処理ですね。

通常のクチチャンの場合、このトーチジンジャーだけを使うのだそうですが、
わたしの友人宅では、ここに叩いた牛肉を入れる贅沢バージョンにしているのだそう。
赤身の部分をたんたん叩いて、粗ミンチ状に。これは旨味ましましでしょう。

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

そして、シャロットや大きい唐辛子の一部も、これまたまな板を使わずしゃしゃしゃしゃと切り、

クチチャン下処理 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャンのセット。

クチチャンのセット Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ざく切りの大きい唐辛子、小さい唐辛子、にんにく、トラシ、塩、砂糖、はまとめてブレンダーで滑らかに。

まずは、薄切りにした大きい唐辛子とシャロットを炒めます。もちろん、たっぷりの油で。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

シャロットのふちがややカラッとしたかな、の頃合いで、滑らかにした材料を加えて混ぜ合わせます。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

牛肉を入れてざっと炒め合わせ、さらに水分を絞ったトーチジンジャーを加えてさらに混ぜます。

お料理を教えてくれたお姉さん、材料を合わせる作業の時、必ず「ビッスミラー」と小さい声で言います。
なんだか美味しくなるためのおまじないのようで、わたしも真似していました。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

全体がいい塩梅に混ざったところで味を確認し、そしてココナッツミルク。

クチチャン Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

ペララと比べて、こちらはココナッツミルクの量は控えめに。ペララより水気少なく仕上げます。

ということで、この日に作ったものを持ち帰っての友人宅での晩ごはん。

お料理教室仕上がり Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

右上のタッパーから、時計回りで、
プレチン・コマック、クチチャン、焼き茄子のプレチン、ペララ・ジャントゥン・ピサン、バナナの花のプレチン。

お料理教室仕上がり Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

盛り付け。
ご飯が進むのです。

あ、そうそう、ロンボクの、と言ってしまうと広すぎるか、ただ、この友人宅でいただいたお米が、
これまたすごく美味しいお米だったんですよ。
ローカル米なのですが、艶やかで、ぱさつかず、かと言ってベタつかず、くどくないみずみずしい甘みもあり。
なんか、端々でロンボクの地の力を見せられている気がしました。

実はこの前日にもお姉さんのお料理を分けていただいていたのですが、
その中から、フレッシュの唐辛子を使ったこちらのお料理も一緒にご紹介。

レラスック Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

カチャン・パンジャン/Kacang Panjang=ジュウロクササゲを使った、レラスック/Lelasuq。
唐辛子、シャロット、トマトを刻んで、小さく切ったカチャン・パンジャンと混ぜ合わせたもの。
味付けは、トラシ、塩、砂糖、化学調味料、にコブミカン。

レラスック Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

材料全部をわしわしっと混ぜ合わせたら出来上がり。
シンプルですが、辛味と旨味に生のジュウロクササゲの青臭さとコブミカンの香りが程よくマッチ。
歯応えの良さもあり、いくらでも食べられます。

わたし、これをベベルック/Beberuqと勘違いしていたのですが、
ベベルックは、メインの野菜以外をチョベなどで潰してあるものを言うのだそうです。
また、ベベルックはだいたいフレッシュの丸茄子。ジュウロクササゲはレラスックになるようです。

ベベルック Jakarta, 2023

ジャカルタのアヤム・タリワンによくついてくる、これがベベルック。
ちなみに、このベベルック、割いたチキンで作るのもあるらしく、それはそれで美味しいに違いない。

ロンボクごはん Lombok_West Nusa Tenggara, 2023

このプレートの右下がレラスック、左下がベベルックです。
ちなみに、レラスックの上にあるのが、前回の記事でブレブレだったキノコのプレチン(笑)。

いわゆるよそゆきの「ご馳走」ではなく、家庭料理を教えてもらえてたからというのもあるのですが、
ロンボクの野菜を使った料理はとても豊富。そして、その野菜がとても美味しいので感動します。
立派な火山を抱く島なので、土質がいいということもあるのでしょうね。
ということで、この↑プレートに乗ってるあと2つと、その他の野菜料理、そしてお肉料理については次回で。

バナナの花 Lombok_West Nusa Tenggara, 2023


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