2023/12/07

西スマトラの食卓④

テ・タルア Padang_West Sumatra, 2023

西スマトラのごはん、最後は甘いものとか飲み物とか、〆系で。

まずは飲み物。テ・タルア/Teh Talua。
玉子入りのあったかいミルクティーです。

玉子入り??と思っていたのですが、実際に飲んでみると生臭みはほとんど感じられず、
濃く出したお茶とコンデンスミルクの甘さとコクで、
マレーシアなどにもあるテ・タリッ/Teh Tarik(マレーシアのはテ・タレというカタカナ表記なのかな)みたいな、
ぎゅっとした強いミルクティ、という感じです。

テ・タルア Padang_West Sumatra, 2023

注文してから観察してみると、お湯を沸かしてお茶を煮出している間に、
コップで砂糖と生の卵黄を、それはそれは高速で、カチャカチャカチャカチャッ!!とかき混ぜ、
ふんわりと泡立つくらいの感じにしています。
スポンジケーキ作る時の白っぽくなった卵黄、まさにあんな感じの。
そこに熱くて濃いいお茶を注ぎ、コンデンスミルクを注ぎ、上にパパッとシナモンパウダー。
卵黄は浮いて表面の泡になり、コンデンスミルクは底に沈んでいるので、3層に見えますね。
ライムを一切れ添えて出来上がり。このライムは生臭さを消すため、ということでした。
ミルキーなあったかいお茶にライムっていう組み合わせが独特の風味になり、これは結構クセになる。
わたしは朝ごはんの際に飲んだのですが、夜に友人とかと集まってまったりしている時とかに好まれそうな感じです。

コピ・タルア Padang_West Sumatra, 2023

紅茶だけでなく、コーヒーのももちろん。コピ・タルア/Kopi Talua。
これは、コンデンスミルクではなくて、砂糖入りのコーヒーですね。
が、沈澱コーヒーなんですよね。なので、カスが入っています。
上の泡部分と混ぜると、沈澱しかけてたコーヒーのカスはまた混ざってしまい、
そして泡状のためカスが沈澱せず止まってしまうのです。
なので飲むと口の中にカスが。これは、どうするのが正解だったのでしょうか。
味についてはライムフレーバーの甘い練乳コーヒーのようで、個性的だけど好ましい味でした。

朝ごはんには、甘いものを食べたくもなります。

これは、ブキティンギで食べた、ラマン・タパイ/Lamang Tapai。

ラマン・タパイ Bukittinggi_West Sumatra, 2023

ラマンというのは、竹筒の中でココナッツミルクと調理された餅米のことです。
むっちりと炊き上がったライスケーキは、ココナッツの滋味あふれる美味しさ。

ラマン Bukittinggi_West Sumatra, 2023

巻いてあるのはバナナの葉。取り出しやすく、香りよく。
そこにかけるのが、黒餅米のタペ/Tapai。シャビシャビなのが美味しいのです。

米+ココナッツの組み合わせといえば、ブキティンギに向かう途中で売られている焼き菓子、ビカ/Bika。

ビカ Bukittinggi_West Sumatra, 2023

すりおろしたココナッツに米粉を混ぜて、砂糖を加えたものをバナナの皮の上にペタンと落として焼く。
素朴で美味しい焼き菓子ですが、焼き方が豪快です。

ビカ Bukittinggi_West Sumatra, 2023

ビカ Bukittinggi_West Sumatra, 2023

ビカ Bukittinggi_West Sumatra, 2023

調理穴を天面に開けたオーブンにずらっと並べた素焼きの鉢に、ぺたぺたとビカを起き、
その上に同じ鉢を重ねて、その鉢の上でも薪をばんばん燃やしていきます。
下のオーブンでももちろん炎は燃え盛っていて、上下から強力な火力で熱せられて焼き上げるのです。
火力のコントロールに熟練の技とかありそう。
焼きたては最高に美味しくて、これはお土産に買うとかっていうより、その場で食べてこそだと思います。

ブキティンギからもうひとつ。

アンピン・ダディア Bukittinggi_West Sumatra, 2023

市場のお土産売り場で、柱にくくりつけられるようにして売られていたこれ。
アンピン・ダディア/Amping Dadiahと呼ばれる、竹筒にいれた水牛ミルクのヨーグルトです。

アンピン・ダディア Bukittinggi_West Sumatra, 2023

発酵食品はインドネシアもあちこちに色々ありますが、これも面白いですね。
特にヨーグルトになるための何かを加えているわけではなく、
水牛の乳を竹筒にいれ、バナナなどの葉で口を覆って2、3日おくだけで自然に発酵が進み、
保存期間が長いほど、酸味が強く、しっかりしたテクスチャーになるのだそうです。

そのままスプーンですくって食べてみました。
発酵みが先にくるので、一瞬構えますが、口の中で溶かして味わうと確かにヨーグルト。
地元のひとたちはこれに椰子砂糖の蜜と削った氷をかけてデザート的に食べるのだそうです。

ということで、西スマトラの食い倒れ、これにて。
実は、ここにご飯を目的で旅行したのは二度目なのですが、三度目、余裕でやれます。何度でも。

ロントン・グライ・サユール Padang_West Sumatra, 2023

どこででも食べられるパダン料理ではあるのですが、
どこででも食べられるパダン料理であってもなお、こんなに「現地で食べる」ことの喜びがあるのがマジック。
やっぱり違うんですよ、ジャカルタやバンドンで食べるのとは。
で、「もう一回行ったしいいや」とは思わないんですよ。
インドネシアに住んで、こんなに何度も食べているのにも関わらず、
それでもやっぱり「また行きたい、できれば未達の近隣にも行きたい」と思ってしまう。
風光明媚な観光地を巡りたいというのではなく、ただ真っ直ぐに「ごはんを食べに行きたい」。
恐ろしくも魅惑の、西スマトラです(きっとまた行きます)。



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