森の食材 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
お久しぶりです!
最後の更新が、2021年の5月でしたので、1年以上あいてしまいました(笑うしかない)。
ブログがどういう体裁だったか、どのくらいのテンションの文章だったかもすっかり忘れてしまいました。
コロナ禍の旅行自粛、まして旅先で土地の人のキッチンを訪ねるなんてこと、とてもできない日々でしたが、
やっと、やっと!見知らぬごはんを求めての旅にでることができました。だから更新!
今回の旅先は、西カリマンタン州の内陸部、カプアス・フル/Kapuas Huluと呼ばれる地域です。
地図の赤丸の地点です(青丸がジャカルタ)。
カリマンタン島のマレーシアとの国境近く、
内陸でありながらも標高は大体30mほど、やや高地でもせいぜい600mくらいという土地で、
インドネシア最長のカプアス川の源流を抱き、豊かな熱帯雨林が広がる土地。
その森の恵みをいただく旅でした。
まずは、その土地の市場を見に行くところから。
村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
何があって、何がないのか。
圧倒的な存在感なのがウリたちです。カボチャ、へちまとその仲間たち、きゅうり、そして葉や花も。
2枚目の写真の右下にあるのは、きゅうりの種なんです。
種を食べるの?と聞いたら「撒くのよ」と当たり前のことを真面目に教えてくれました(笑)。
きゅうりの葉以外の葉野菜は、キャッサバの葉とシダ類が充実。
茄子はとても小ぶり。大きいのもあるわよ、と見せてくれたのもやはりだいぶ小さかったです。
2枚目の右上のオクラ。これはジャワなどの都会のスーパーマーケットにはありますが、
あまり一般的に食される素材ではなく市場で見かけることは稀です。少なくとも西ジャワのバンドンあたりでは。
ここではカチャン・レンディル/Kacang Lendir(粘り豆)と呼ばれ(ジャワではオクラ/Okura)、
「よく食べるよ」とのことでした。
3枚目の左端のビニールに入っているのは筍です。
一方で、ないもの。
まず、トマトがないです。唐辛子も、小粒のラウィット/Rawitのみ。
ジャワの市場で見かけないことはないトマトと、常に並んでいる2、3種類の唐辛子ですが、
ここでは週末に離れたところから売りに来る人がいるだけで、普段の市場には並ばないのだそう。
何種類もあるのが常なバナナもまた同様。ここでは基本的にはこの小さいのだけなのだそうです。
ガランガル/Lengkuasや、フレッシュなターメリック/Kunyitも見当たりません。
こういう、あるものないものを見ていくと、その土地の植生と食文化、暮らしが見えてきます。
火山性の土地で広く開墾され、野菜などの栽培が盛んなジャワとはまた違う様相です。
農耕と採集の混在しているこの地での畑は転地耕作が多く、
作物と土壌との相性だけでなく、その作法と相性のいい作物というのがあるのでしょう。
筍やシダの類は転地後の畑跡や森に生えるものを採ってきているのだと思われます。
シダ Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
アクもほとんど感じない優しい味がします。
市場の一枚目の写真に戻り、妙に長いものを。
村の市場 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
ヘビウリ/Labu Ularです。
一緒に入ってるのはカボチャと、トカドヘチマ/Gambas(Oyong)。
食べたことないこれ、と思い購入し、ゲストハウスへ持って帰りました。
今回の旅、気になる野菜を買ってはゲストハウスで料理してもらえたので楽しかったです。
ヘビウリ Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
お店の人が「卵と炒めたら美味しいよ」と言いながら、バキッと半分に折っちゃったのにはびっくりしたけど。
ゲストハウスのごはん Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
かぼちゃもあって、きゅうりもあって、ウリ科総出みたいなお昼ごはん。
ヘビウリは、クセのない味でしゃくっとした歯ごたえが美味しかったです。
魚は淡水魚のプラーチョン/Gabusの仲間だそう。湖で捕れたのでしょう、脂がのっていて美味です。
ゲストハウスのごはん Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
ウリ科といえば、苦瓜/Pareも。
それから、市場の写真でごろっとアピールをしていたこちら。
テロン・アサム Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
この地域特有の野菜と言われているテロン・アサム/Terong Asam(酸っぱい茄子)です。
剥くとアクが出るところとか、中に種が詰まっている感じとか、確かに茄子。
酸味自体は、一番酸っぱいと言われる種の周りでもそれほど強くなくマイルド。
テロン・アサム Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
テロン・アサム Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
刻んだのを、ニンニクとシャロット、干した雑魚と炒めます。食感も茄子。
優しい酸味に油と、雑魚の旨味が染み込んでいて、ご飯が進む系のおかずですね。
干し魚も市場にならんでいました。淡水魚の塩漬けです。
干し魚 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
この村は近くに大きな湖があるので、そこで漁れた魚などを加工しているのだと思います。
それから、酸味について。
あなたとここでお会いするとは、と思った酸味素材、カンディス/Kandis。
カンディス Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
日本語ではキャニモモと呼ばれる植物の果実を干したもので、
これまでカンディスを見かけたのは、スマトラ島の北端のアチェと、あとはスリランカでした。
ジュクット Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
これは、郷土料理の一つでジュクット/Jukutと呼ばれるもの(詳しくは次回に)なのですが、
ここに入ってる黒い、レーズンのようなものがカンディスです。
タマリンドよりはマイルドな、アーシーな酸味です。
また、魚などの臭み消しに使う柑橘は、カラマンシーでした。
カラマンシーは、ジャワではあまり見かけないのですが、インドネシア西部ではよく使われますね。
魚の下処理 Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
魚は淡水魚のプラーチョン/Gabusの仲間だそう。湖で捕れたのでしょう、脂がのっていて美味です。
森の食物として、果物も。
「なお、これ絶対知らないでしょ、食べてみ」と出されたのがこちら。
センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
これが果物だとは思わなないよなあ。というビジュアル。
地元の言葉ではセンガン/Senggang、もしくはジョンポン/Jomponと呼ばれています。
(民族が違うと言語が違うので、呼称も変わります)
中は小さな種がみっしりで、その周りを半透明の薄い果肉が覆っていて、
一口食べると、見た目に反したさわかやかフルーティーなフレーバー。種もそのまま食べてしまえます。
地元の子には「種は噛まず、キャンディのように舐めて味がなくなったら飲み込んじゃうの」と言われました。
これにわたしはハマってしまって、喋りながら延々食べ続け、
わたしのお腹の中はこの種ですごい粒々状態になっているかもしれない、というくら食べました。
その食べっぷりを見た別の子が「こっちの方が美味しい」と、外に行って採ってきたのがこちら。
レンバ Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
こちらはレンバ/Lemba。
皮を剥くのではなく、膨らんだ部分を口に入れて前歯でしごくように果肉を搾り出して食べます。
ちょっと酸味があり、香りがいいのです。これもまた美味しい。
今回の滞在中、村で行われたフードフェスティバルに参加したのですが、
そこで、このサンガンとレンバの原型(?)がわかりました。
センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
センガン Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
レンバ Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
レンバ Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
センガンはジンジャーの一種、レンバは蘭の一種にあたるらしく、
みんなが「土の下に実がある」と説明してくれていたのがピンと来なかったのですが、
どちらも株の根元にこういう形で生えてくるのだそうです。
センガン、ちょっと茗荷みたいですよね。
で、そのフードフェスティバル。
土地の料理を知りたいと旅をするわたしにはぴったりな企画だと、大はしゃぎで出向き、
すっかり楽しんだし、いろんなものを見て食べて聞いてしてきました。
が、なにせ色々ありすぎて、情報オーバーロード。教えてもらった食べ物や料理の名前は全て忘れました。
泣く。
フードフェスティバル Lanjak_West Kalimantan, 2022 |
なので、記憶に具体性がいまいち足りない状態ではあるのですが、
これ以上メモリーからこぼれ落ちてしまう前に、次回は頑張ってこのフードフェスティバルについてです。
0 件のコメント:
コメントを投稿